もはや前人未踏の領域をひた走っているジョコビッチですが
これでGSタイトルは24個目、全米は4個目となりました。
前記事でも触れていますが、全米は優勝回数が少ない
ということだったものの、それでも4個目ですからね、圧巻と言えます。
4で少ないってのもヤバい感覚ですがまあ全豪10回だから比較になってしまうのは仕方ないです。
それがジョコビッチ。
ジョコビッチの全米は、優勝は少ないものの決勝進出は10回目であり、
こちらは全豪と並んで最多となっています。
ウィンブルドンは9回、全仏は7回で、GS決勝総数は36回。決勝進出回数は歴代一位です。
優勝回数と準優勝回数の両方が1位なのだからまあ当然といえば当然ですね。
因みにGSベスト4進出回数でもジョコビッチが歴代1位です。
そこまで追わなくてもいいかもしれませんが、ジョコビッチのベスト4進出に関しては
全米が13回で、全豪10回、全仏12回、ウィンブルドン12回と比べて最も多い結果となっています。
全豪は優勝10回で大得意の印象ですが、ベスト4進出、準優勝というのがないというのは面白いです。
さて、ジョコビッチに敗退したメドベージェフですが、
2021年とは逆で、今回はメドベージェフにプレッシャーがかかる状況での試合だったと思います。
トーナメントを通してNYの観客がメドベージェフ寄りの状態だったとも言えなかったですし。
メドベージェフ本人に落ち度は何もないわけで、その意味でも頑張ってほしかったとは思ってました。
ただ、準決勝でアルカラスと立派に戦えたことを考えれば復調してきていると思えるし
このまま3強時代を築いてほしいと願います。
まあ純粋にプレー内容で言えば、ジョコビッチがメドベージェフ対策をバッチリしてきたという感じでした。
一番強い王者が一番練習し一番研究する。こんな状態では他の選手もたまったものではないですね。
対戦成績はこれでジョコビッチの10勝5敗となりました。
少し差が開いてしまいましたがここからまくってもらいたいです。
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- 2023/09/11(月) 12:00:00|
- 2023年7月~9月
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さて、遂に決勝です。
ジョコビッチvsメドベージェフ
2021年決勝の再戦となりました。
記憶にも新しいところですがその時はメドベージェフが勝利しています。
勝ったメドベージェフはグランドスラム初制覇でした。
この年は全豪でも両者が決勝でぶつかっており、そこではジョコビッチが勝利していました。
ジョコビッチはその後全仏ウィンブルドンと勝ち続け、年間ゴールデンスラムがかかる年でしたが
周囲の期待が高まる中極端なプレッシャーがかかり、オリンピックとそして全米を落としたのでした。
メドベージェフはその後一旦No.1に就任するものの、直後にランクを落としました。
そしてここへきてまた3位にまで戻している状態となっています。
メドベージェフは、ハードコートにおいては対ジョコビッチ、対アルカラスの
最有力選手であることは疑いもないところで、準決勝でも
アルカラスとの見事な打ち合いを制して勝ち上がっています。
両者の対戦成績はジョコビッチの9勝5敗と意外にも差があるのですが
今年に入ってからは2戦していて1勝1敗という状態です。
メドベージェフはこれまで4度、グランドスラム決勝に進んでいます。
ハードコーターらしく、全豪2回、全米2回の内訳です。
そして相手はナダル2回、ジョコビッチ2回とそりゃもう苦行のような戦いをしてきているわけですが
それでも1度勝利しているのだからやはり見事です。今回はジョコビッチに3度目の挑戦となります。
しかも年間グランドスラムのプレッシャーのかかってない絶頂のジョコビッチですから
2021年当時よりは厳しい戦いになるでしょう。
さて、そしてジョコビッチ。
全仏はまあナダルがいるということである程度差し引いて考えることができる部分があるのですが
全米は優勝3回と、ジョコビッチとしては実績の少ない大会にも思えます。
但し、決勝進出に関してはこれで10回目となり、チルデンの記録に並び史上最多タイとなりました。
グランドスラム最多優勝を誇るジョコビッチは準優勝でも最多となっているわけですが
全米においても決勝にまで勝ち上がるという点においては決して実績が少ないわけではなかったというわけです。
これまでグランドスラムで12回準優勝となっているジョコビッチは
そのうち半分の6回をがここ全米で記録されています。
ナダル2回、フェデラー1回、マレー1回、バブリンカ1回、メドベージェフ1回
顔ぶれが豊富ですが、ナダルを除いて同じ選手に2度負けていないというのもあり
今回メドベージェフに負けることは記録コレクターのジョコビッチとしては沽券に関わる問題となりえます。
ジョコビッチは今年グランドスラム全てで決勝に進出しているのですが、
自身3回目となり、フェデラーの記録に並んでこちらも歴代最多となりました。
まあ、ここまでくるともう驚かないですけどね。
仮にジョコビッチが優勝すると、
1回目(2015年)が全仏のみ準優勝、
2回目(2021年)が全米のみ準優勝、
そして今年(2023年)がウィンブルドンのみ準優勝と
異なったタイプの年間グランドスラム未遂が集まることとなり
これまた豊富な記録コレクションがまた一つ賑わいを見せることになるわけです。
因みに歴代で年間全てのグランドスラム決勝に進出した記録は11回あります。
・1933年クロフォード(全米以外優勝)
・1938年バッジ
・1956年ホード(全米以外優勝)
・1962年レーバー
・1969年レーバー
・2006年フェデラー(全仏以外優勝)
・2007年フェデラー(全仏以外優勝)
・2009年フェデラー(全豪、全米以外優勝)
・2015年ジョコビッチ(全仏以外優勝)
・2021年ジョコビッチ(全米以外優勝)
・2023年ジョコビッチ(??)
1925年に全仏が世界に開かれて以降、2006年のフェデラーより前までの81年間で5回、
2006年のフェデラーから今年のジョコビッチまで僅か17年でそれより多い6回という
とんでもないことが起きています。
テニス界の悪魔的な20年を象徴する記録の一つと言えるでしょう。
- 2023/09/10(日) 10:21:00|
- 2023年7月~9月
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さて、今年最後のグランドスラムもいよいよ準決勝となりました。
毎度申し上げていますが、私はグランドスラムは代々準決勝が面白いと思っています。
まあたまにとんでもない決勝があるのも事実ですけどね。
今回は
・アルカラスvsメドベージェフ
・ジョコビッチvsシェルトン
の組み合わせとなりました。
2+1強というか、3強と言ってもよいメンバーはもう何の問題もなくやはりそうかという感じですが
ここに滑り込んできたのがベン・シェルトンでした。
3強時代には稀にこのようにベスト4にノーマークの選手が一人ふと入り込むことがあります。
他の3人についてはもはや改めで語る必要もないでしょうから少しシェルトンを取り上げてみます。
シェルトンは今回当然ノーシードでエントリーしています。
現在のランクは47位、トップ100入りしたのが去年の11月、
トップ50入りは今年に入ってからと正に新星と言える選手です。
国籍はアメリカ、年齢は20歳で、左利き、195cmという大型選手。
アメリカ選手の正当な系譜ともいうべきスケールの大きなプレーをするということもあって
地元では大盛り上がりであるのは想像に難くありません。
シェルトンがランクを一気に上げたのは今年の全豪です。
ベスト8に進出してその時は同郷のポールに敗れましたが、
今回はそのポールにリベンジを果たして勝ち上がっています。
これまでタイトルは0でグランドスラムやマスターズのような大きな大会でも
今年の全豪が唯一勝ち上がった大会であってそれ以外は上位進出はありませんので
全くの未知数、むしろたった今開花した選手と言っても良いでしょう。
次はジョコビッチというとんでもなく大きな壁に挑むわけですが、
わからないけどまあやってみようという感じで本人も気負わずやってくれるといいですね。
プレースタイルに少し触れると、もうとても魅力的なものを持っていると言えます。
195cmと大柄なので、サーブもストロークもパワーは凄いのですが
決して強打を多用せず、スピンサーブからのネットダッシュを多く見せますし、
ラリーでもトップスピンを強めにかけたギャンブル性の少ないショットを用いるのが特徴です。
ただ、いざというときに強打はさすがにすさまじく、
こうした緩急を自在に操ることができれば手の付けられない選手になる可能性があります。
良い物は持っているけど使いこなせないとか、才能はあるのに気分屋とか、
武器の多さが裏目に出て器用貧乏とか、そうした選手にならないように祈りましょう。
(え?カナダ人?オーストラリア人?ブルガリア人?そんなこと言ってないですよ?)
身体に恵まれているからとパワー一辺倒で戦うスタイルは90年代で終わっています。
21世紀に入ってからそのタイプはトップでは通用しませんでした。
シェルトンが今のスタイルに合わせて、恵まれた身体も活かしつつも
しっかりと技術を付けてプレーしているのが好感が持てます。
ただ、なんとなくですが、
シェルトンのプレーは技術に寄せたショットセレクションが多い印象で、
地元ファンは、より豪快なプレーの比重が大きいものを観たい
ということもあるのかなとも感じました。
シェルトンのコーチは父のブライアン・シェルトンで、元ATPのプレイヤーです。
私もプレーは何度か見たことがあります。
上背は息子ほどじゃなくパワーというよりもネットプレーを使った丁寧なプレーが多く
90年代アメリカの非常にオーソドックスなプレイヤーという印象でした。
そうしたこともあるのでしょうか、ネットプレーは巧いので
その技術は確実に受け継がれているのだろうと思います。
いずれにしてもパワーと技術の両方を持っていて、
かつネットを多用して活躍する選手というのは
久しくトッププレイヤーには存在していませんでしたから
ある意味21世紀の新しいスタイルの一つとなる可能性もあります。
愉しみな選手の登場ということで絶対王者との対戦を楽しみにしたいと思います。
- 2023/09/08(金) 12:00:00|
- 2023年7月~9月
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すいません、最近いつものことで恐縮ですが、
記事のアップができておらず、既に大会が始まって半分が経過してしまいました。
男子シングルスはベスト16が出揃っている状態です。
大会は現在の2強、アルカラスとジョコビッチを中心に回っています。
ドロー発表の時点では、トップハーフのアルカラス側の方が
ボトムハーフのジョコビッチよりも組み合わせが厳しいと感じられていましたが、
大会が進んでその状況が更に露骨になってきています。
アルカラス側には、メドベージェフ、シナー、ズベレフ、ルブレフなど、
優勝候補に挙げられてもおかしくない選手が名を連ねており、
それら選手たちが順当に勝ち上がっているのですが、
ジョコビッチ側では、上位シードのルード、ルーネ、チチパスなどが軒並み敗退する事態となっています。
ただでさえ厳しくないドローだった上に、更にジョコビッチ有利に大会が進む形になっている印象です。
今年のグランドスラムはどの大会でもジョコビッチは厳しくないドローになっていて、その引きの良さは大変印象的です。
だからといって勝ち続けるのは簡単なことではなく、
ジョコビッチも3回戦では同郷のジェレを相手に2セットダウンを許すという苦戦がありました。
もっとも、第3セット以降は打って変わって完勝だっただけに、肩慣らし的なイメージ持ってしまうのも事実ではありますが。
さてというわけで、
実力者が比較的安定して勝ち上がっているのがトップハーフで
上位勢の敗退がより多いのがボトムハーフというのが現在の状況です。
その混戦のボトムハーフでも特に印象的なのが、アメリカ選手の活躍です。
ボトムハーフ8人のうち、実に半数の4人が地元アメリカの選手となっています。
トップハーフには1人もいないので、混乱のボトムハーフを盛り上げるのはこれら地元選手なのかもしれません。
いやまあでも、ジョコビッチにとって与し易い選手が名を連ねている感は否めないですけどね・・・
- 2023/09/03(日) 19:23:02|
- 2023年7月~9月
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なかなか更新ができておりませんでした。
大変失礼しております。恐縮の限りです。
ATPツアーの方は着実に進んでおりまして、
カナダとシンシナティの2連マスターズをこなしております。
既にシンシナティの決勝にまで進んでいて
アルカラスvsジョコビッチの頂上決戦となりました。
ウィンブルドンの再現というわけです。
やはり今はこの2人の史上最大年齢差ライバルがATPを支配しているとみて間違いありません。
ただ、勝ち上がりはアルカラスが全てフルセットであるのに対し
ジョコビッチは全てがストレートとなっていて
カナダをスキップしているのもありジョコビッチの方がコンディションには余裕がある状態です。
大会数は少ないながらも確実な調整で仕上げてくるのはもう流石の領域で、
これはここ2~3年ではなく10年近くずっとやってきてますから、もはや達人の域と言えましょう。
ハードコートにおいては第3勢力として脅威と考えられていたメドベージェフは
ここまでまだあまり調子を上げることなく敗退しています。
全米での奮起があるのかは注目したいところです。
アルカラスはカナダではトミー・ポールにフルセットで敗退し
続くシンシナティではお返しとばかりにフルセットで勝ちを収めリベンジを果たしました。
また、ホルカチともカナダ、シンシナティの両大会でいずれも激闘を戦っています。
マスターズ2連戦だとこのような選手同士の連戦も発生して中々興味深く見ることができます。
まあ選手は大変そうですけどね。
カナダでマスターズ初優勝を果たしたシナーもシンシナティでは初戦で敗退しました。
シナーも将来のNo.1候補ということで。
本来であればせめてもう少し勝ち上がってほしいところですが
まあこのくらいが普通なのかもしれません。
両大会でどちらもベスト8に進んでいるのアルカラスだけですから。
全米もアルカラスとジョコビッチが中心となって回っていくことになるでしょう。
シンシナティでの両者の決勝の結果も大いに気になります。
- 2023/08/20(日) 17:25:27|
- 2023年7月~9月
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さて、今年のウィンブルドンが終わりました。
優勝は、やっぱりジョコビッチ・・・じゃないの~?えー!
多くの人がジョコビッチと思っていたでしょう。
それはもう決勝よりもはるか以前から。かく言う私もそうでした。
歴史というのは動くものなんですね。あまりにも長い停滞ではありましたが。
ビッグ4以外のウィンブルドン優勝は実に21年ぶりとなります。
ジョコビッチの調子が悪かったとは思いません。
第1セットなんてもうやっぱりかと、結局はジョコビッチの掌の上なのかと感じたものです。
途中でアルカラスがセットを取り返し、更にはリードしたタイミングでも
いつものようなジョコビッチがしばしば見せる停滞時間に過ぎず
相手を油断させたのちに最後はかっさらっていくパターンだろうと思っていました。
スコアはアルカラスから見て「1-6 7-6 6-1 3-6 6-4」でした。
結構激しく両者間でペースが揺れ動いたことがわかります。
スコアの上では第2、第3セットをアルカラスが連続で取り、リードした形となりました。
しかし第4セットでジョコビッチが先にブレークしたタイミングで、
あ、これはもう、いつものパターンだと、試合は決したものだと、そう思いました、
そう、いつものジョコビッチであればここを取ったらもう勝ちパターンなのです。
しかし今回そうはならず、アルカラスが再度流れを引き寄せ、そのまま勝利してしまいました。
この決勝戦での素直な印象は、ジョコビッチの衰えや調子の悪さなどではなく
アルカラスが他の選手とははっきりと違うのだということを感じた点でした。
まず、絶対王者となったジョコビッチと互角に打ち合っていたのがもうそれだけで凄いです。
ティエムやメドベージェフが良い時に辛うじてクレーやハードで見せてくれていましたが
グラスでそれができていた人は皆無だっといえます。フェデラーやナダルですらです。
去年のシナーが2セットアップとジョコビッチを追い詰めましたが、
勢いに優ったタイミングでリードを広げることはできていたものの
ラリーのスキルでジョコビッチと互角以上に渡り合っているとは感じませんでした。
そこへ行くと今回のアルカラスは、強打だけでなく緩急やネットプレーも織り交ぜて
ジョコビッチにいい様にやらせる時間帯というのをほとんど作らせませんでした。
これは凄いことだと感じました。
また、チャンスやピンチの連続という展開でもジョコビッチと対等にやり合えていたのは見事です。
大抵は最後に息切れしてジョコビッチに持っていかれ、
勝ちそうなところまで行っていただけだけに、その打ちのめされ度合いが半端なく、
立ち直れずにランク5位~10位を行ったり来たりする選手になる
というのがこれまでの有望な若手の相場でした。しかしアルカラスは違います。
もう本当、唯一そのジョコビッチ地獄から抜け出せた選手と言えるでしょう。
改めて見事な優勝だったと言えます。
敗退したジョコビッチも、世代交代云々といった話は出るのでしょうが、36歳という年齢で、
今年2つのGSで優勝、1つで準優勝と、それだけ取っても控えめに言って化け物です。
まだ時代が終わったとは言えません。ビッグ4のいわゆる4強時代は終焉していますが
最後の生き残りとしてまだしばらくはテニス界を支配してくれるだろうと思います。
今回のトーナメントに目を向けますと、シナー、ルブレフ、ルーネ、チチパスといった
クレーの方が強いと思われるランク上位の選手が上まで勝ち上がったのは意味があると感じました。
このところのウィンブルドンは、ビッグ4以外には誰が勝つかよくわからず
キリオス、ノリー、シャポバロフ、ホルカチ、イズナー、バウティスタ・アグーなどといった
決してグランドスラムの上位常連ではない選手が決勝や準決勝に登場するなど
ギャンブル性の強い、よくわからない大会という雰囲気がありました。
そこへきて今回は、ユーバンクスのようなダークホースの活躍はあったものの
上位勢が安定して勝ちあがったということで、今後は充実度の増した大会になっていく可能性があります。
すなわちコート種別による差というのは今後ますますなくなっていくということかもしれないです。
読めない大会というのも面白いのですが、
やはりどのコートでもハイレベルな強い選手同士の試合が観たいというのがありますから
私はこの傾向はというのはありがたいと感じています。
- 2023/07/17(月) 03:55:03|
- 2023年7月~9月
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さあ、ウィンブルドンが開幕しました。
今回は前哨戦で優勝したアルカラスがNo.1に返り咲き、第1シードを獲得しています。
ここ数年ウィンブルドンはジョコビッチしか勝ってないので
今回もジョコビッチ中心の大会であることは変わりないでしょうが
アルカラスが前哨戦を取ったことで少しは期待度も上がっていると言えるかもしれません。
ただ、ドローをみるとアルカラスのトップハーフ側が厳しい様にも感じられ
どうしてもジョコビッチが優勝候補の抜きんでた第1位であることは疑いのないところでしょう。
どの辺の選手が強力な候補だとと言えるか、というのもありますが
個人的には注目したい第3シードのメドベージェフはトップハーフに入りましたし
過去のチャンピオンやファイナリスト、セミファイナリストの多くがトップハーフに入っています。
マレー、ラオニッチ、ベレッティーニ、ディミトロフ、ノリー等
また、プレースタイル的にグラスにフィットしていると見込まれ、
これまた注目したいと思っているクレッシーやコルダもトップハーフに入りました。
ボトムハーフ側ではジョコビッチ以外には、
ガスケ、イズナー、バウティスタ・アグー、ホルカチ、シャポバロフ辺りがベスト4経験者となります。
但し、既にガスケとイズナーは初戦で敗退してしまっています。
前哨戦のハレを制したバブリクは元々グラス向けの選手ですし、期待値は高いです。
プレースタイルも面白いのでキリオスのいない分盛り上げてほしいところです。
あとはシナーですかね。昨年はイズナーやアルカラスを下してベスト8に進出しました。
今年はここまで絶好調とは言えないですが、実力は高い選手です。
グラス前哨戦ではバブリクと2度対戦して1勝1敗となっています。
しかもハレの大会では先にセットを取った後の途中棄権であり
その後バブリクはそのまま優勝してるわけですから十分にダークホースと言える存在です。
昨年から調子の安定しているフリッツも、コートを選ばないパフォーマンスの高さで注目選手と言えると思います。
その他、チチパス、ルード、ルーネ、ルブレフといった
これまでウィンブルドンで結果を出してこれてない上位シードが
どこまで勝てるかというのも見るべきポイントになると思います。
優勝の行方というよりは今後のランク争いという観点になりますが。
日本人選手の参加も多いです。今大会は5人が本選に出場します。
あと、ドローを見てて印象深いのがフランス選手の多さです。
組み合わせ的に固まって配置されているというのがあって目立つのかもしれませんが
それでおも全部で14人でしょうか、総数でも十分に多いと思います。
近年選手層が厚くなってきているアメリカでも12人ですからもしかしたら今大会最多かもしれません。
- 2023/07/04(火) 14:24:41|
- 2023年7月~9月
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前回質問への回答という形で記事を上げさせていただきましたが、
それについて追加のご質問をいただきました。
ありがとうございます!
管理人様、およびコメント欄で回答してくださった皆様、丁寧なご回答ありがとうございます。
なるほど、「ここ20年でネットプレーヤーがトップレベルから消えた」ことによって
「ストローカーVSネットプレーヤー」という構図から
「クレーが得意なストローカーVSグラスが得意なストローカー」に変わった。
そして、マレーは後者のタイプである、と。
これはテニス観戦素人の自分からは出てこない発想でした。
ところで、回答文の中でひとつ気になった箇所があります。
それは、「(トップレベルからネットプレーヤーが消えた)理由は、コートの変化、ラケットの変化、ボールの変化、そしてプレイヤーの変化など様々に言われますが、‥‥」の部分です。
以前、どこかで見た事があるのですが、「ラケットの進歩によって、昔は相手コートに返すのがやっとだったのでボレーで簡単に処理されていたリターンもそこそこ強い打球が打てるようになり、サーバー側の有利が減少した。」と書いてあって、「これっておかしくない?」と思いました。
確かにラケットが進歩すれば良いリターンが打ちやすくなるでしょうが、相手も同じ様なラケットを使っているのだから、当然相手も良いサーブを打ってくるわけですよね。
ましてや、ラケットに当てることすらできない高速サーブを打たれたら、こちらはラケットの進歩の恩恵すら受けられないことになり、むしろ「ラケットの進歩はサーバー側に有利に働いているのではないか」と思いました。
「ラケットの変化はサーバー側に有利だけど、ボール、コート、主流のプレースタイルの変化はリターナー側に有利だから、これらの変化は総合的にはリターナー側に有利」と言うならまだ分かりますが、「ラケットの変化それ自体がリターナー側に有利」と言われてもどうも納得できません。これは一体どういう理屈なんでしょうか?
追加の質問になってしまいますが、以前から疑問に思っていたので質問させて頂きました。
以上が追加のご質問です。
回答の中で、グラスコートでストローカー有利となった背景の一つとして「ラケットの進化」を上げましたが、
ラケットの進化はサーブ側にも有利になっているはずで、ストローカー有利の要因にはなってないのではないかということになるかと思います。
もっともなご意見である上に、更にはとても鋭いご指摘とも言えます。
ご自身で「テニス観戦素人」と言われてますが、とてもそうとは思えない見識です。
頑張って回答させていただきます。
細かく分析していくと色々と複雑になってきますのでここではある程度分類を明確にしておきたいと思います。
サーブ&ボレー vs リターン&ストローク という図式で話をしていきます。
まずご指摘の通り、ラケットの進化はストローク側だけでなくサーブ側にも有利に働いているのは間違いありません。
カルロビッチ、イズナー、ラオニッチ、オペルカといった近年の超強力サーバーは
かつて存在したビッグサーバーとは次元の違うサーブパフォーマンスを見せています。
これらの選手はラケットの進化を最大限サーブに活かした選手と言っていいと思います。
その一方でストローク側も大きくパフォーマンスを上げており、
事実上この20年間で芝生のコートを支配しているのは完全にストローカーとなっています。
実際のところラケットの進化がストローク側にもたらした効果は大きく、
簡単に結論を言ってしまうと、ラケットの進化がサーブ&ボレー側にもたらした効果を
ラケットの進化がリターン&ストローク側にもたらした効果が上回った結果だと考えています。
ラケットの進化と一言で言っても、専門的には複雑な内容がおそらく沢山あって
素材とか、形状とか、ガットと、かもうあらゆる要素が関係しているのだと思います。
さすがに細かすぎるとよくわからないので、ざっくり、ものすごくざっくりですが、
私の思うラケットの進化を上げると、以下の2点に集約されるかと思います。
・パワーの向上
・精度の向上
まずパワーですが、軽量化によって単純に振り回しやすくなったというにとどまらず
素材の発達などでより強い力が加えられるようになりました。
サーブとリターンを比較しますと、もちろん両方に影響がありますが、
ことパワーに限ればサーブ側への効果の方が高いと思います。
テニスでは、サーブはリターンよりも遥かに強いショットですので
単純なパワー向上ということであればサーブへの恩恵の方が高いのは間違いありません。
サーブとリターンを比べると効果は「サーブ>リターン」となります。
一方で、ボレーとストロークの比較になると、話は逆転します。
ボレーはそもそも強くボールを打つショットではないためパワー向上の恩恵はそこまで高くなく
それに対するストローク側は、より強いパスが打てるようになるため対ボレーのショットが有効になります。
つまり「ボレー<ストローク」となるわけです。
パワーの面だけ見ても、サーブは有利になっていても、
ボレーは有利になってないというのが伺えると思います。
続いて精度の向上です。
こちらはスイートスポットが拡大したり、軽量化や素材の変化で取り回しがきくようになったことで
古いラケットではきちんと真ん中に当てなければミスショットになっていたところが
進化したラケットでは正確な球として打つことができるようになったという効果になります。
この効果はサーブにおいても一定の恩恵はあるでしょうが、
そもそもサーブは自分から打ち始めるものであり、ミスが多く出る前提のショットではないため、
パワーでの効果に比べれば、遠くの球に飛びついたり、打ちにくい体制で返球したり
といったことが必要になるリターンでの効果に比べれば薄いように思います。
すなわち精度向上の効果は「サーブ<リターン」と考えられます。
サーブに比べると、精度の向上がボレーにもたらす恩恵は大きいと思います。
ボレーでは、遠くの球に飛びついたり、返球しにくい体制で対応するということが多く発生します。
しかし、それはストローク側での効果の高さと恩恵の大きさは同じくらいだといえますので、
ここでは「ボレー=ストローク」と考えられます。
まとめますと、ラケットの進化という観点においては
サーブにもたらした効果はあるものの、ボレーにもたらした効果が大きくないという理由から
サーブ&ボレーヤーが消滅してしまってた、と言っていいのではないかと思います。
簡単な結論は以上なのですが、少し追加でトピックを取り上げさせていただきます。
それは「回転数の向上」です。
ラケットの進化が及ぼした効果の中にこの回転数の向上というのもあります。
先ほどリストアップした「パワーの向上」と「精度の向上」の副次的な効果と言えるのですが
すなわちラケットが取り回しやすくなるとボールに多くの回転がかけられるようになります。
テニスにおいて回転というのは重要です、
同じスピードの球でも多くの回転がかかっているボールはより重くなります。
ボールの威力というのはスピード+回転と言えるわけで
回転がかけられるというのは「パワーの向上」に直結していると言えます。
また、ボールに多彩な回転がかけられると、
直線的なボールに比べてより広範囲に球が打てるようになります。
より打てる範囲が広くなるということはミスが減ることにもつながりますので
「精度の向上」にもつながってくる部分と言って良いかと思います。
以前イギリスのどこかの記事でも
今回と同じようにサーブ&ボレーがいなくなった理由という特集をやっていたのですが
その時にはシンプルに結論を回転数が向上したから、としていました。
これも主にサーブとリターンの比較ではなく、ストロークとボレーの比較という焦点で語られていて、
近年の回転の多いパスに対しては、ボレーは押し込まれてしまい、
以前のようなコントロールショットができなくなってしまっているというのと、
回転をかけることでストローク側の打てる範囲が広がったため
ボレーヤーがコートをカバーしきれなくなっているとされていました。
以上が、私が思う、ラケットの進化が及ぼしたサーブ&ボレーヤー減少の理由となります。
またしても長々とした文章で恐縮ですが少しでも参考にしていただければ幸いです。
- 2023/06/28(水) 12:08:35|
- 雑記
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前記事のコメント欄でネットプレーヤー応援隊長様よりご質問いただきました。
はじめまして。 いつもデータ検証サイトを拝見させて頂いております。
グラスシーズン開幕とのことですが、検証サイトの方で「テニスはコートによって選手の勝率が変動する」とあり
大変興味深く感じました。
ところで、検証サイトを見ていて一つ疑問に思ったことがあります。
「ストローカーはクレーコートに強く、ネットプレーヤーはグラスコートに強い」とありますが、
ストローカーのアンディ・マレー選手はなぜグラスコートの勝率が一番高いのでしょうか?
守備力の高さが最も生きやすいクレーコートの勝率は、逆に三種類の中で最も低くなっています。
ありがとうございます。
コメント欄で返信しようと思ったのですが、私の悪い癖で
案の定、長文回答になってしまったので改めて記事を起こさせていただきました。
長い回答で恐縮ですがご確認いただけると幸いです。
※回答内容についてはあくまでも私見である点はご了承ください。
回答内容としてはまず
「ストローカーはクレーコートに強く、ネットプレーヤーはグラスコートに強い」の部分
そして
「アンディ・マレー選手はなぜグラスコートの勝率が一番高いのでしょうか?」の部分となります。
まず前者です。
「ストローカーはクレーコートに強く、ネットプレーヤーはグラスコートに強い」
当サイトではテニスの歴史を俯瞰していますので、その広い時代範囲の判断としてはこれは事実です。
ネットプレーヤーがテニス史に明確に登場したのは1930年代で、
その後1990年代に至るまで約70年に渡りテニス界を支配してきました。
特にグラスコートでは無類の強さを発揮してきたと言えます。
但し2000年代に入ってネットプレイヤーは少なくなり、現在ではほとんどいなくなってしまいました。
つまり、ここ20年でいえば「ネットプレーヤーはグラスコートに強い」は正しくなく
もっと正確にいえば、ネットプレーヤーはトッププレイヤーから姿を消している、ということになります。
理由は、コートの変化、ラケットの変化、ボールの変化、そしてプレイヤーの変化
など様々に言われますが、その全てが該当します。
90年代の男子プロテニス界はビッグサーブのみで試合が決まってしまうことが多く、
試合がつまらなくなったと言われました。
そこで、テニス界が改革したのがまずはコートの変化とボールの変化でした。
特にそのつまらないという傾向が顕著であったグラスコートではボールが良く跳ねるようにしました。
それによって、グラスコートでもストロークの効果が高まり、選手はそのスタイルでも戦うようになります。
そうなると、次はそれに合わせたラケットも開発されるようになります。
選手達は最終的に、現在のグラスコートではストロークで戦う方が効果的であるという結論を出したことになります。
順序としてはラケットの改革の方が先だという説もあるのですが、
私は個人的にはボールとコートの方が先と見たほうが自然じゃないかと思っています。
当サイトでも、正確には
「(2000年に入るまでは)ストローカーはクレーコートに強く、ネットプレーヤーはグラスコートに強かった」
と書き改めなくてはいけませんね。ここは修正機会があったら対応したいと思います。
そういうわけで、今ではほぼ全ての選手がストロークスタイルでグラスコートでも戦ってます。
コート差は以前ほどは大きくなくなっていると言えるわけです。
80年代には、ノア(クレー:75% グラス:45%)や、キャッシュ(クレー:40% グラス:73%)のように
トップ10選手であっても極端にコート別の勝率が違う選手がいましたが
さすがに今はそこまで違うことはありません。
それでも、クレーとグラスとでは戦い方が違うので
同じストロークスタイルでもやはり得手不得手は生じてきます。
そこで後者の回答の
「アンディ・マレー選手はなぜグラスコートの勝率が一番高いのでしょうか?」になります。
まずクレーはバウンドがゆっくりであり、しかも高く跳ねるので、ラリーが長く続きます。
体力があってミスせずに打ち続けられる選手が強い傾向にあります。
テニスは生きた球を打ち返しますので、来た球のペースを利用して合わせえるように返球する方法がありますが
クレーではそれはあまり有効ではありません。自分からしっかり打っていける選手が強いのです。
その意味で、マレーはこの合わせるショットが得意の選手です。
フットワークもあって自分から打っていくショットも強いのである程度はクレーでも戦えますが
やはり一番の持ち味であるカウンターを活かしたショットというのがクレーでは活きにくいというのがあります。
一方でグラスコートではボールは低くはずみますので、
クレーのように自分から強打していくスタイルが通じにくいです。
足元に来た球を巧く合わせるように打つスタイルの方が効果的です。
ロブやドロップショット、スライスショットなどの小技も重要になってきます。
マレーは正にこれらが得意ですからグラスで特に効果的に戦えているのだと思います。
もちろん、サーブやボレーの総合力も高いというのも要因として上げられるでしょう。
特にサーブの効果はグラスの方がクレーよりも高くなります。
もう一つ、フットワークも上げられます。
クレーは全速力で走ることができるコートですが
グラスでは小刻みなフットワークが必要となります。
以前のサーブ&ボレーが主流の時はさほど重要ではなかった要件ですが
グラスでストロークスタイルで戦うようになった今ではグラスコートのフットワークというのは重要です。
マレーは一見どたどた走っているようにも見えますが、グラスコートに適した足の動きを見せています。
グラスコートでの効果的なパフォーマンスの一因だと言えます。
すいません、サイト内で触れていることや他のコメントを返信してくれた方と同じ内容のものもありますが
一応、私の方からのいただいたご質問への回答となります。
他に不明点や疑問点等ございましたら遠慮なくご連絡ください。
長文失礼しました。
※実はコメント欄ではATPウォッチャー様とふぁぶ様が
このご質問にいち早く回答して下さっており、内容も概ね同じでして、
むしろそちらのコンパクトな回答をみていただくのでよかったんじゃなどと思えたりもしています。
- 2023/06/23(金) 19:44:24|
- 雑記
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先週は錦織のチャレンジャー復帰優勝という嬉しいニュースもありましたが
ATPのトップツアーではグラスシーズンが開幕しています。
まだ私はいくつかの試合をハイライトで追っている程度ですが
クレーとの違いなど観ていて面白いですね。
さすがに以前のように、同じ選手がストロークスタイルとサーブ&ボレーで
戦い方をがらりと切り替える、みたいなことはないですが
特にフットワークに違いがみられるのが印象的です。
近年のテニスは全力で動いてなんぼですが、クレーほどの地盤が安定しておらず、
スライディングもしにくいグラスコートでは、考えなしの全速力ではなく
小刻みなフットワークで無駄のない動きができる選手が効果的に戦えます。
トップ選手はさすがにショットも動きも良いですが
僅かな試合を観ただけではあるものの、ここまでで特に印象的だったのは
メドベージェフとフリッツでした。
メドベージェフはコートの後ろに陣取るのが本来のポジショニングで
グラスコートでその戦い方は有効ではないように思えるものの
持ち前のフラット系のショットが弾道の低いグラスとうまくマッチして
効果的に戦えているように思います。
このところ好調のフリッツはグラスシーズンに入っても良さをが持続させています。
フリッツの何でも高い次元でこなすプレースタイルは、
その反面これといった決定打がないという点で
かつてであれば器用貧乏と評価されたであろうと思われますが
選手間のレベル差がなくなっている近年ではむしろ完成度の高い選手といえ、動きもショットもグラスコートにフィットしているように感じました。
プレー成績を見ると必ずしもグラスを得意とする選手ではないのですが
少し気にしてチェックしてみたいと思います。
あと個人的にもう一人、気になる選手の名を上げさせていただきますが
やっぱりシャポバロフです。
ダイナミックなショット、ダイナミックなミス、
そして片手打ちなのにいまいち効果的でないスライスショット!
そう、これでした!
私のシャポバロフに対して感じていた何とも言えぬもやもや感は。
片手打ちは普通スライスが巧いだろうと。
しかしそうじゃない選手がいたっておかしくないわけですよね。
今グラスシーズン、観るべきポイントが一つ増えて嬉しい限りです。
- 2023/06/21(水) 15:10:26|
- 2023年4月~6月
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