昨年のズベレフに続き若きチャンピオンの誕生となりました。試合の方は壮絶でした。
ハイライトでしかおっていませんが、ピンチの時の両者の戦いぶりなどフルマッチを観て確認したいところです。
試合後のチチパスとティエムがやたらと仲良く感じたのですが
3年前のファイナルの時にティエムがチチパスをヒッティングパートナーとして呼んだという経緯があったようです。
チチパスにとってティエムは兄貴のようなものなのかもしれません。
両者ともに本当に強靭な戦い方をしますね。
選手生命が伸びているのが昨今のテニス界ですが、この方法で果たして10年後も戦えるんでしょうか。
ナダルの例がありますから可能性はありますが、ナダルのみが本当に例外中の例外というだけかもしれませんし。
現在の代表的長寿選手であるフェデラーもジョコビッチもあんな強打の連続という戦い方はしていません。
もちろんビッグ3に対抗するために生まれてきた戦い方なのだというのはわかります。
これが今後のスタンダードになっていくのでしょう。
長寿を犠牲にしていくことにならないのか、はたまた、
プレーが成熟するまでに時間がかかるということもあるのではないかなど
テニス界の将来というものにも、また更に興味が出てきます。
今回のこの頂上決戦の大会で全勝した選手はいなかったことになります。
それほど力の差は接近してきているとも言えます。
年末のビッグ3に疲れが出てきていた時期だから、という注釈をつけることはできるかもしれませんが。
いずれにしろ、まずか優勝したチチパスをまずは褒めるべきでしょうし、
フェデラー、ジョコビッチを撃破して準優勝に至ったティエムも素晴らしかったです。
ただ、私としては怪我&不得手なコートで死闘を連続で制し、
最終的にNo.1の座を手にしたナダルを功労の選手として称えたいと思います。
これで、フェデラー、ジョコビッチ、ナダルがそれぞれ5年ずつ年度末No.1に君臨したことになります。
合計で15年です。途中マレーの1年を挟んでいますのでそれを入れて16年です。
因みに2003年のフェデラーは2位でしたが、年明けの全豪ですぐ1位になりましたので実質17年間トップというわけです。
ナダルも2年後、ジョコビッチも5年後にはこのトップの集団に加わります。凄いですね。
ジョコビッチの12年間だって充分おかしいです。
さて、いつものように最後にデ杯を経て年間の全記録が決定します。
今年からデ杯の仕組みが変わりましたので少し多めに試合が行われます。
トップ選手の何人かにもまだ少し勝率等に変動が発生します。
因みに参考までにここ16年の勝率1位を見てみましょう。
今年のナダルは現在のところまでです。カッコ内は2位と3位になります。
最後の※印は勝率1位とランキング1位が一致している年です。
2004年 フェデラー 92.5%(ロディック、ヒューイット)※
2005年 フェデラー 95.3%(ナダル、ロディック)※
2006年 フェデラー 94.9%(ナダル、リュビチッチ)※
2007年 フェデラー 88.3%(ナダル、ジョコビッチ)※
2008年 ナダル 88.2%(フェデラー、ジョコビッチ)※
2009年 マレー 85.7%(フェデラー、ナダル)
2010年 ナダル 87.7%(フェデラー、ジョコビッチ)※
2011年 ジョコビッチ 92.1%(フェデラー、ナダル)※
2012年 ナダル 87.5%(ジョコビッチ、フェデラー)
2013年 ナダル 91.5%(ジョコビッチ、マレー)※
2014年 ジョコビッチ 88.4%(フェデラー、ナダル※)
2015年 ジョコビッチ 93.2%(フェデラー、マレー)※
2016年 マレー 89.7%(ジョコビッチ、ラオニッチ)※
2017年 フェデラー 91.5%(ナダル、ジョコビッチ)
2018年 ナダル 91.8%(フェデラー、ジョコビッチ)
2019年 ナダル 88.1%(フェデラー、ジョコビッチ)※
年度末No.1と必ずしもイコールではないですが概ね一致しています。
トップの回数はナダルが一番多く6回。フェデラーが5回、ジョコビッチが3回、マレーが2回でした。
やはり勝率ではナダルなんですね。
マレーも2度トップになっているのは凄いです。
彼はビッグ4の中で唯一、ビッグ3全員と戦わなくてはいけない選手でしたからね。
ビッグ3が3位までを占めた回数は、9回。
ビッグ4が3位までを占めた回数は、12回。
ビッグ4が4位までを占めた回数は、意外と少なく、2009年と2011年の2回だけでした。
そして燦然と輝く、2016年の3位、ラオニッチ!
2016年はこの中で唯一フェデラーとナダルがトップ3に入ってない年でした。
記録の上でも十分に衝撃的な年だったといえます。(まあ、4位と5位なんですが)
しかしこの衝撃があったからこそ、翌年の両者の復活劇が更なる劇的なものになったということなのでしょう。
今年のチチパスは勝率にすると意外とだめで、6位、68.0%でしかありません。
ティエムが4位で73.44%、メドベージェフが73.42%でそれぞれ4位と5位でした。ズベレフなど、63.0%で16位です。
勝率で言えばビッグ3と若手との間にはまだまだ差があることが分かります。
勝率が80%に届かないとまだ強い選手とは言えないです。
これまで、80%に達しなかった選手が一人もいない年というのは2年だけありました。
1992年 クーリエ 79.3%(サンプラス、ベッカー)
2000年 サンプラス 76.4%(ヒューイット、クエルテン)
どちらも正に時代の移り変わりという時期です。
メンバーを見ると、サンプラスの前とサンプラスの後というのが分かります。
また、90年代にはサンプラスのみが80%を超えていたという年が3年もありました。
90年代は本当にサンプラスの時代だったんですね。
今回ビッグ3全員が5回ずつ年度末No.1で並んだわけですが、唯一それよりも上を言っているのがサンプラスの6回です。
仮にサンプラスがいなかったら90年代はどれほど大荒れの時代になっていたのでしょうか。
ここ16年の中でビッグ4以外に80%に達している選手は以下の通りです。
2004年 ロディック
2005年 ロディック
2005年 ヒューイット
2012年 フェレール
2011年 ソデルリング
ロディックとヒューイットは元No.1ですのでそう大きな驚きではないですが、
それ以外となるとあと2人だけ、2例だけしかなんです。これは凄いです。
2011年のソデルリングはこの年の7月に地元スウェーデンの大会でフェレールを下して優勝したのですが
その後、病気を発症しそのままツアーに戻れずに引退することになってしまいました。
それ故にこの年は試合数も少なかったというのは事実です。しかし年の途中までとはいえ充分に勝っていただけに本当に惜しいです。
結果としてキャリアを優勝で終わらせたということになっるのですが、これは私の知る限りあとサンプラスのみじゃないでしょうか。
奇しくもここで話題になった2名による偶然の大記録です。
そのソデルリングの最後の試合で敗れていたフェレールは、正真正銘、1年を戦っての80%達成者となりました。これは快挙でした。
ロディックとヒューイットの80%超えはナダルが出てきた時までですから、
ビッグ4の時代になってからビッグ4以外で唯一80%を記録した選手というわけです。
次は果たして誰が年間80%を超えることができるしょうか。
75%の壁ですら大きい今、結構大変なことだとは思いますが、来年以降の記録には大いに注目されます。
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- 2019/11/20(水) 10:34:00|
- 2019年10月~12月
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チチパスがフェデラーを、ティエムがズベレフをそれぞれストレートで下して決勝進出を決めました。
どちらが勝っても初めてのチャンピオンが生まれます。
チチパスはナダルとの激戦の翌日だったので体力は大丈夫かと思われましたが
まあ言っても3セットマッチですし、何より若い選手ですから何の問題もありませんでした。
フェデラーが優勢な時間帯もありましたが要所を締める見事な試合展開だったといえるでしょう。
スコアは「6-3 6-4」ですがスコア以上に長引いた試合でした。
今大会のチチパスの凄さはピンチを切り抜けるサーブです。
ナダル戦でも今回のフェデラー戦でもピンチを幾度も迎えましたがその都度見事なサーブを見せました。
ナダル戦は9本あったブレークポイントのうち7本を凌ぎ、フェデラー戦に至っては12本中11本を凌ぎました。
このピンチを切り抜ける安定感は絶対的な王者が持つものです。
私はかつてレンドルがピンチになると必ずサービスエースで切り抜ける姿を見てその凄みを感じ取りました。
その後同じような強さはサンプラスそして近年ではジョコビッチに感じました。
少なくともこの2試合でチチパスはその域に達した凄みを見せてくれたのです。
試合では決してフェデラーが圧倒されていたわけではありません。
特にチチパスのサービスゲームでは何度もプレッシャーをかけていました。
フェデラーのサービスゲームのポイント総数は54なのに対し、チチパスの方は89もありました。
交互に打つはずのサービスゲームで、こうもポイントに差が出るのは珍しいです。
しかも勝った方が多いというのは、いかにチチパスがピンチを迎え、そして切り抜けたのかを物語っています。
参考までにもう一つの準決勝ティエムvsズベレフ戦ではティエムが66、ズベレフが71でした。
数字は近く、そして勝った方が少ないです。
さてさて、決勝でチチパスと当たるのはティエムです。
準決勝では、復調したズベレフが好調なだけに熱戦の可能性が考えられましたがストレートでの決着となりました。
内容はチチパスと同じように決してティエムが終始圧倒していたわけではありません。
サービスゲームでポイントリードされるケースが何度かありましたがそこからの冷静なプレーが見事でした。
やはり要所を抑えた戦いができたということにでしょう。
ノッている選手にはそうした強さが備わっているものなんですね。
どちらも1位通過ですし、今一番強い選手が上がってきたということなのでしょう。
過去の対戦ではティエムの4勝2敗で、直近では北京の決勝でティエムが勝利しています。
初顔合わせは昨年ですが、昨年だけで実に5回も顔を合わせています。
既にお互いを知っている対戦ということになるでしょうから名勝負になることを期待しましょう。
どちらが勝っても初の優勝者になることは冒頭で述べましたが
去年、一昨年も初優勝者ですので3年連続で新チャンピオンが生まれることになります。
これは過去には2度例がありました。
1976年から、オランテス、コナーズ、マッケンロー、ボルグが連続で新王者に
1988年からはベッカー、エドバーグ、アガシ、サンプラスが新王者になっています。
どちらも4年連続ではありますが、メンバーを見ても新時代を迎える気配というものが感じられます。
気が早いですが今から来年の王者は誰だろうという思いも出てきます。
まずは決勝ですね。楽しみです。
・・・ううう、実は私、これから出張で、多分生で観戦できないんです。
皆さん私の代わりに目に焼き付けておいてください。
※追記です。
私にとってとても大事なことを書き忘れてました。
今回の決勝は片手打ちバックハンド同士の顔合わせとなりますが
こてれはもうずいぶんと久しぶりのことです。
以前の例を調べると、何とあの歴史的名勝負、
1996年のサンプラスvsベッカー以来ということでした。
さすがにフェデラーですらまだデビューする前です。
すいません、訂正です。コメント欄でご指摘いただきました(たかはし様ありがとうございます)。
2006年のフェデラーvsブレークがありました。大変失礼いたしました。
10年も新しくなりました。が、それでも13年前。しかもフェデラー。
同時に、ベスト4に3人の片手打ちが残りましたが、これもまた久しぶりのことです。
こちらは1998年のコレチャ、モヤ、サンプラス、ヘンマン以来でした。
このうちモヤだけが両手打ちです。
近年ではフェデラーとバブリンカとか、フェデラーとディミトロフとかフェデラー+1という感じで
2人まではあったのですが3人が揃うことはありませんでした。
- 2019/11/17(日) 08:41:00|
- 2019年10月~12月
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RRが終わりました。
グループAA
・チチパス
・ズベレフ
グループBB
・ティエム
・フェデラー
前記事で勝ち抜け条件を勘違いしてました。
オフィシャルサイトを見れば普通に出てるのだからあらかじめ見とけって話ですよね。
大変失礼しました。
2名の勝ち星が並んだ場合は直接対決の結果が優先され、
3名が並んだ時に初めてセットが考慮されるという形になっています。
セットの考え方も、以前はまず得失セット差が考慮され、次に得セット数で決まるという形でしたが
現在はセット取得率に代わっています。
微細な差のようですが、例えば得失セットが5-3と4-2の場合、以前のルールでは5-3が上位になりましたが
現在のルールでは4-2の方が上になります。
レギュレーションはまた変わる可能性がありますので、来年は事前にきちんとチェックするようにします。
さて、ナダルvsチチパスは面白かったですね。
チチパスは淡々と打ってるのになんであんなにサーブが速いんでしょうか。
今はストローク全盛の時代ですが、近年の若手はサーブの威力も凄いです。
今回のファイナル進出者では、ビッグ3がはサーブスピードの遅い選手ということになります。
まあサーブはスピードだけではないというのはその3人がきちんと証明してくれていますが。
ストローク全盛とは言ったものの、チチパスのネットへの意識は高いです。
ナダルのようにベテラン選手がプレーの幅を持たせるために前に出るオプションを増やすのはわかるのですが
今では若い選手も積極的に前に出る姿が目立ちます。
試合の方はサービスキープがひたすら続く緊張感の高い展開でした。
チチパスはストローク戦で負けておらず、ロングラリーでは互角以上に渡り合っていました。
どちらが勝つかわからない展開でしたが、
第2セット後半からじわじわとナダルが調子を上げてチチパスを追い詰めました。
何度もピンチを脱するチチパスのサーブ力も凄かったですが、流れはナダルに傾いていたと感じます。
最後はナダルかなという思いがありつつも、同じように感じていたティエム戦のジョコビッチが
最後に試合を落としていましたのでこの試合も最後まで分からなかったです。
決勝トーナメント進出が決まっているのに全力で戦っていたチチパスには好感が持てました。
ナダルもこの時点では進出の可能性がありましたのでそのような緊張感が名勝負を生み出してくれたのでしょう。
ナダルは2勝1敗でしたが、先述の得失セットの関係で敗退が決定しました。
0-2での敗退と勝った2試合はいずれもフルセットの激戦でしたので、致し方ありますまい。
次の試合でズベレフがメドベージェフに勝ったことでズベレフが進出を決めました。
一時はファイナル出場権獲得も危ぶまれたズベレフですが、復調の兆しを見せているでしょうか。
ショットレベルは相変わらず高く、どう調子を維持するかだけが課題のようなところもありましたので
試合を見てるとやっぱり強いなあという印象を相変わらず感じさせてくれます。
あの、大事なポイントをいとも簡単に落とすあっけなさとのギャップがまた可愛いところなんです。
メドベージェフは3連敗となりました。
今回、このグループは全ての選手に全勝の可能性も全敗の可能性もありましたので驚きではありませんが
それでもメドベージェフの勝ち上がりを予想した人は多かったのではないでしょうか。
今年は後半にピークがずっと続いていましたので最後に少し息切れしてしまったといったところでしょうか。
しかし、それでも来年も十分に楽しみと思える選手です。
今回出場した若い4人には今後も良いライバル関係を築いていってほしいですね。
第2のビッグ4みたいなね。
まあ、勘違いしてはいけないのは、現状のビッグ4は3人までは同じくらいの年齢ですが
一人だけは更に一世代上の別年齢層の選手ということです。
その一人、今回勝ち上がってるんですよね。
- 2019/11/16(土) 09:10:07|
- 2019年10月~12月
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正直に言いなさい。
ティエムとジョコビッチが勝つと思っていた人~、黙って手を上げなさ~い。
先生怒ってるんじゃないぞ~。
だって、先生もそう思ってたからね。
しかもどっちもストレートで敗退。
ティエムは、フェデラー、ジョコビッチとの連戦で精神をすり減らした可能性がありますし
ベレッティーニも最後の試合ということで吹っ切れて来ることは想像に難くないですから
ある程度はこの結果も予想されたものだったかもしれません。
ジョコビッチはティエム戦でらしくないミスがいくつかありましたが
フェデラー戦ではそれが随所に出てしまいました。明らかに本調子ではなかったでしょう。
一方でフェデラーは非常に良いプレーを見せました。
このところ連勝していたとはいえ、実力伯仲の両者に調子の差があれば当然このような結果となります。
フェデラーは得失セットでティエムを上回り、1位通過となりました。
グループAAではチチパスとズベレフには1位通過の可能性があり当然この両者が2位となることもあります。
ナダルとメドベージェフは1位通過は無理ですが2位通過の可能性があります。
というわけで、フェデラーは4人誰とも当たる可能性が残っています。
一方でティエムはチチパスかズベレフのどちらかになります。
こう考えると2位通過の方が準備しやすい部分もあるんですね。
※すいません。ルールの把握に誤りがありましてフェデラーは2位通過のようです。
大変失礼しました。
ジョコビッチが敗れたことで、ナダルは敗退しても年末1位が確定しました。
しかしせっかくの年末No.1争いが両者の敗退で決するというのも寂しいものがあります。
その意味ではナダルが勝ち上がって、ある程度のお披露目をしてくれればいいんですが、
条件としては、チチパスにストレート勝利した上にズベレフが完勝しないことを祈らないといけません。
ちょっと厳しい部分もありますがどうでしょうか。
メドベージェフ戦の奇跡の逆転が、ある意味お披露目的なものだったという方が自然でしょうか。
- 2019/11/15(金) 12:30:00|
- 2019年10月~12月
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本当は1日ごとに更新したかったのですがすいません。
RR2戦目まで終了しています。
グループAA
チチパス 2勝0敗
ナダル 1勝1敗
ズベレフ 1勝1敗
メドベージェフ 0勝2敗
グループBB
ティエム 2勝0敗
ジョコビッチ 1勝1敗
フェデラー 1勝1敗
ベレッティーニ 0勝2敗
まずは先に行われているグループBBの方から。
こちらはティエムですね。
フェデラー、ジョコビッチを相手に2連勝するとは思いませんでした。
もちろん実績は十分、パワーもスピードもあって守備力も文句なし
ハードコートでも戦えるということで、あわよくばどちらか一人はとの見方はあり得たでしょうが
まさか激戦を制しての2連勝とは恐れ入りました。
ジョコビッチ戦はフルセットタイブレークとまぎれもない激戦でして、フェデラー戦もストレートは言え、
スコアは競っていましたし内容も実力者同士のぶつかり合いにふさわしいものでした。
まあフェデラーが肝心の時に出すミスが気がかりだったくらいでしょうか。
格上相手に競った試合で勝てるというのは本当に力がついてきた証拠です。
対ジョコビッチは全仏に続いて2連勝となりましたがいずれも熱戦でしたので自信になったでしょう。
ティエムのウィナーの数は非常に多く、パワーでジョコビッチを圧倒していたということになります。半面ミスも非常に多かったです。
精密機械のようなジョコビッチが相手ですからティエムとしてはこの戦い方でいくしかなかったと思います。
それでも、このような戦い方は波が激しくなりますから、随所に結構な危なげもありました。
ファイナルセット、試合のかかったサービスゲームをミスの連続で簡単に落とした時には
最終的にはやっぱりジョコビッチが試合を持っていくのかなと思いました。
その私の予想は見事に外れ、行方の分からぬシーソーゲームは最後にティエムのものとなりました。
ジョコビッチはこういう試合を絶対に落とさないという印象があるのですが落としたのは少々意外でした。
純粋に試合としてはとても面白かったと思います。
トップ選手がいきなり全力で戦いますからそりゃこういう試合も生まれます。これこそがファイナルの醍醐味ですね。
このグループではティエムがベスト4進出を決め、ベレッティーニは落選となりました。
もう1枠はジョコビッチとフェデラーの勝者が手にするということになります。
順当にいけばジョコビッチ優勢なのだと思いますがどうでしょうか。この試合は見たいですね~。
何時にやるんだろう。
グループAAの方ですが、こちらはチチパスがベスト4進出を決めました。
もう1枠を残る3人で争います。恐らく2敗のメドベージェフにもまだチャンスはあると思います。
組み合わせはチチパスvsナダル、ズベレフvsメドベージェフです。
こちらのグループは本当に混戦模様で誰が勝つかわからない状態でした。
その中で見事に1セットも落とさずに2連勝を飾ったチチパスは大したものです。
混戦とはいえ、敢えて言うならナダルはもちろん、前回王者のズベレフ、ビッグ3に次ぐ4位のメドベージェフに比べ
チチパスが一番下と捉えれるケースはあったと思います。ティエムと同じでいい意味で周りを裏切った例と言えるかもしれません。
今大会全出場選手中で最も本調子でないのがナダルであることは疑いもないです。初戦はらしくないミスの連発で完敗でした。
それでも第2戦ではファイナルセット「1-5」からの大逆転という離れ業をやってのけました。
正直、1か月前のメドベージェフだったら簡単に試合は決められていたでしょう。
こういう僅かな差で辛うじて試合をものにして行く薄氷のナダルに凄みを感じますが、同時に痛々しさも覚えてしまいます。
ナダルは毎度毎度驚かせてくれる選手ですが、今回はさすがに厳しいと思っています。
但し、わずかな過去例からのデータ提示をさせていただければナダルは準優勝になる可能性を秘めているのです。
今回ナダルは怪我上がりで今大会にエントリーしてきました。
過去にチャンピオンが怪我のため直前の大会を欠場してファイナルにエントリーした例があります。
1988年のレンドルと2005年のフェデラーです。どちらも何か月かのブランクを経てのエントリーでした。
そして大会史上に残る見事な決勝を戦い、準優勝になっているのです。
ナダルにはその例に追随する条件が揃っています。果たしてどうなるでしょうか。
ん~やっぱり厳しいかなあ。
因みにもしもナダルがベスト4に進出したとして、ティエムが対戦相手となる能性があります。
ティエムはフェデラー、ジョコビッチを下していますが、ここでナダルも下すと
実にビッグ3全員から勝利を上げることになるのです。
流石に春の例ではないでしょうが、かつてマレーとかロディックとかくらいしか例がないことなのではないでしょうか。
もう少しいうと、ティエムが準決勝でナダルを下してビッグ3に勝利、
で、チチパスに負けて準優勝などということになった場合、
ビッグ3全員に勝利した挙句に優勝しないというとんでもないことが起こります。
これは流石に史上初めてのことなんじゃないでしょうか。
- 2019/11/14(木) 16:12:00|
- 2019年10月~12月
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前記事のコメント欄で少し話題に出ておりましたフェデラーとナダルの時代にATP NEXT GEN Finalがあったら
ということで面白そうなので調べてみました。(tote様ありがとうございます。)
まずフェデラーですが、ウィンブルドンでサンプラスを下したセンセーショナルな年、2001年を取り上げてみます。
時にフェデラー20歳。
当時のランク上位から対象年齢の8名をピックアップします。
結果は以下の通り。数字は当時のランキングです。
01 ヒューイット
05 フェレーロ
11 サフィン
13 フェデラー
14 ロディック
30 ロブレド
34 ヴィンチゲラ
44 コリア
錚々たる面々です。ヴィンチゲラのみ今では無名ですが、他はテニスファンならば誰もが知っている名手ばかり。
ニューボールズと呼ばれていた若手選手たちが猛威をふるっていた時です。
この少し後には、ゴンザレス、ダビデンコ、ナルバンディアン、フェレール、ユーズニー、ロペス、ベルディフ、ベルダスコ
といった選手がトップ10やトップ20にランク入りしてきます。正に同世代群雄割拠といった様相です。
次に同じくナダル20歳の時を見てみましょう。2006年です。
02 ナダル
12 バグダティス
13 ベルディフ
16 ジョコビッチ
17 マレー
18 ガスケ
30 バブリンカ
32 アルマグロ
こちらも見事に後の有名選手だらけです。
両方の時代には5年の差があるものの、今と比べて隔絶の感があるのが、若手のランク上位者の存在です。
2001年の方ではヒューイットはNo.1だし、2006年のナダルは不動のNo.2でフェデラーとの2強時代を形成していました。
当時ネクストジェネレーションズファイナルがあったとしても上位の何人かの選手は不参加だったことになるでしょう。
一応今年もチチパスとシャポバロフが権利はあるもののスキップという形をとりました。
チチパスはファイナル進出者ですが、シャポバロフはそうではありません。
この大会は、ポイントと関係のない大会ということで、顔見せというか存在感アピールの場でもあるように思います。
既にある程度実績を残している選手であれば不参加となるのはやむを得ないでしょう。
例えば2001年であれば上位4~5人は欠場したのではないかと思えます。
こうなるとジュニアの大会とあまり変化がないものになってしまい、大会自体成立しなかったしれません。
もう少し若手に頑張ってほしいという運営側の思いから作り出された大会であることは疑いの余地もありません。
この10年ほどで新しい選手というのが本当に出てこれなくなっていたということなんでしょう。
つまりネクストジェネレーションズの大会を生み出したのはまぎれもなくフェデラーやナダルなのです。
フェデラーとナダルに対抗しうる新しいNo.1候補として、ジョコビッチとマレーが登場しこの2人は成功しましたが
フェデラーとナダルを駆逐したわけではなく、より強固な4強時代を形成することになりました。
これを崩す新しい存在というのが何人も登場し、そして撃沈していったのです。
デル・ポトロ、チリッチ、錦織、ラオニッチ、ゴファン、ディミトロフ、ティエム、キリオス・・・。
そして現在はズベレフ、メドベージェフ、チチパスらがその座を引き継いでいます。
デル・ポトロとチチパスの年齢差は10歳です。
これ、異例です。
だってフェデラーとの年齢差差じゃないですよ、フェデラーを駆逐するだろうかと期待された候補選手同士の差が10歳です。
10歳といえばテニス界では大きな差です。
例えば、サンプラスとフェデラー、レンドルとアガシ、ボルグとエドバーグなどが10歳差です。
旧世代側の息が長く、新世代も若くして出てきていないと対戦が実現しないようなそんな差です。
上記例でいえば、サンプラスは長かったですがフェデラーが早熟ではなかったので1度しか対戦は実現しませんでした。
レンドルとアガシは、長寿&早熟ということで何度か対戦が組まれました。
ボルグについてはエドバーグとの対戦はありません。デビューよりも前に引退してしまっています。
仮にチチパス達でもダメで、今、NEXT GENを戦っている中でも最年少のシナーがようやく次の時代を作る、
ということになると、フェデラーとは実に20歳差の世代交代ということになります。
- 2019/11/08(金) 17:45:34|
- 過去の記録
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記事アップの直後、本当に直後に組み合わせが発表されました。
今回のグループはアンドレ・アガシとビヨン・ボルグですね。
AAとBBということでしょうか。
グループ:アンドレ・アガシ
[1]ナダル
[4]メドベージェフ
[6]チチパス
[7]ズベレフ
グループ:ビヨン・ボルグ
[2]ジョコビッチ
[3]フェデラー
[5]ティエム
[8]ベレッティーニ
まずはグループAAの方。
ナダルは出場できるということです。
ナダルから見て組み合わせ的にこれは一応吉なんでしょうか。
過去の対戦でいうと、チチパスに1度敗れたことがあるだけでトータル11勝1敗と大きく勝ち越しています。
ただ、勢いのある若い選手ばかりですから過去の対戦成績はあまり当てになりません。
しかも、何度も言いますがコート適正的にもコンディション的にもこの中でナダルが一番悪いともいえます。
キャリアを通じて年末はナダルの季節ではありません。
今年で15年連続という驚異のファイナル進出権獲得という離れ業をやってのけていますが、
過去出場たのはそのうち8大会のみでしかも2017年は1試合だけを行って棄権しています。
ナダルは全勝の可能性もあれば全敗の可能性すらあるというのが正直なところです。
ナダル以外の3人の争いは純粋に非常に面白いです。
キャリア実績ではズベレフ、今年の実績ではメドベージェフですが、3者の実力は伯仲といえます。
過去の対戦成績では、ズベレフ(4-1)メドベージェフ、メドベージェフ(5-0)チチパス、
チチパス(3-1)ズベレフと三つ巴になっています。
グループBBの方。
注目のフェデラーはこちらに入りました。2強+2というグループになったといえるでしょう。
ベレッティーニは若き4傑の一人ですが、中でも一番の遅咲きでキャリア自体は少なく
今回も最後の最後、パリでモンフィスが敗退したことによるエントリーとなりました。
未知数とも言えますが百戦錬磨の選手たちの中にあって台風の目になるとは考えにくい部分もあります。
またティエムもキャリアの多さで言えばニュージェネレーションズとは差を付けていますが
本来クレーの選手であり、決してインドア適性が高いとは言えません。
ナダルであればまだしも、ジョコビッチ、フェデラー相手ということでは苦戦を強いられる可能性が高いです。
そう考えると、フェデラーを引いたとはいえ、
ナダルよりもジョコビッチの方が良い組み合わせになったといえるかもしれません。
考えてみれば、ジョコビッチは2015年を最後に4年間フェデラーに負けていないので
今年2敗を喫しているメドベージェフよりも相手としては良いともいえるのです。
最後に、今開催しているネクストジェネレーションズのファイナルですが
本当でしたらこっちの話題で盛り上がらなくちゃいけないですよね。
残念ながらまだ選手たちの試合を見ることができていなくて、
ハイライト映像でも何とか全員のプレーを見たいと思っております。
青田買いじゃないですが、未来の選手たちのプレースタイルを今から把握しておくのも悪くないですし。
もしかしたら今のニュージェネレーションズもまだビッグ3を駆逐するまで行かないかもしれません。
そうなると、正にその下のネクストジェネレーションズ達が時代を作っていることになるわけですから。
- 2019/11/07(木) 12:00:12|
- 2019年10月~12月
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ブログの方、ちょっと更新をさぼってしましました。失礼しました。
ATPツアーはいよいよ最終戦を残すのみとなります。
ポイントの上では1位争いが激戦となっていますが、
正直のところ気力と体力の充実したトップ2の激突が観たかったところです。
現時点で1位のナダルですが怪我が発生しており、ファイナル出場も危ぶまれている状況です。
両者のポイント差は僅かの640です。
ATPファイナルのポイントは少し複雑ですが、RRで1勝ごとに200ポイント、
ベスト4で勝利すると400ポイント、決勝勝利で500ポイントとなっています。
ジョコビッチが全勝で優勝した場合、ナダルは決勝にまで進出しなければいけません。
しかもRRで同等以上の成績を残した上でです。
ジョコビッチ側から見れば、640ポイント以上は絶対に取らないといけません。
RRで全勝しても600ですので、準決勝で勝つ必要があります。すなわち決勝進出が条件です。
まとめましょう。
ジョコビッチが準決勝までで敗退 → ナダルが1位
ジョコビッチが決勝進出 → ナダルがRRで2勝すればナダルが1位
ジョコビッチが優勝 → ナダルが決勝に行けばナダルが1位
優勝でも全勝の場合とRRで1敗か2敗してという場合があります。
こうなるとポイント計算が複雑になりますが、概ねナダルの勝利数が
ジョコビッチより一つ少ないまでであればナダルが1位と考えてほぼ問題ないでしょう。
しかし現状、ナダルは怪我で、ジョコビッチはパリを絶好調で制しているという状態です。
コート適正も踏まえてジョコビッチ優勢とみていいように思えますが如何でしょうか。
それにしてもナダルの最大の敵は怪我というのはいつものことです。
その中でも結果を残してきているのは凄いですが、
今回も最後にきて力尽きてしまうということになるのでしょうか。
もちろん怪我に次ぐ2番目の敵がジョコビッチであることは疑いありません。
ナダルはこのところクレーでしかジョコビッチに勝てていません。
最後にハードで勝利したのは2013年の全米です。
それ以来、対戦成績も4勝13敗で、間には7連敗を含んでいます。
この7連敗の間、ナダルはジョコビッチから1セットも取れませんでした。
今年のナダルはアカプルコでベスト16というのがありますがそれ以外の全ての大会でベスト4に進出しています。
勝率も全選手中最高でNo.1にふさわしい選手なのですが
怪我のためにマスターズを3大会も欠場しているのが大きく響いています。
どれか一つでも出ていれば今時点で年末1位の座は確定していたでしょう。
もちろん肉薄しているジョコビッチも凄く、
タイトル数はぐGS2、マスターズ2まではナダルと同じですが、
東京でも勝っているのでナダルよりも一つ多い状態となっています。
但し、全米4回戦での棄権を始め、マスターズではベスト8が2つ、ベスト16が1つ、ベスト32が1つと
ナダルに比べると少し波があります。
まあそれでも、現時点のコンディションに加え、全豪での完勝も考えると
直接対決が実現してもジョコビッチ勝利の可能性が遥かに大きいのだろうなと思わせます。
結局No.1にふさわしいのはジョコビッチなのかもしれません。
さて、今年のATPファイナルは、規格外のビッグ3は置いておいて、残りの5人が皆20代の選手となりました。
しかもそのうち4人がニュージェネレーションです。
メドベージェフ、チチパス、ズベレフ、ベレッティーニ
奇しくも上海マスターズでベスト4に残った4人が揃い踏みを果たしたことになります。
ティエムだけが中堅というべき存在ですが、それでも若い選手がここまで揃うのは久々ではないでしょうか。
出場8人の年間成績を見てみましょう。
数字はタイトル数(勝利-敗戦)です。
・ナダル 4タイトル(51-6)
・ジョコビッチ 5タイトル(53-9)
・フェデラー 4タイトル(51-8)
・メドベージェフ 4タイトル(59-18)
・ティエム 5タイトル(46-17)
・チチパス 2タイトル(50-24)
・ズベレフ 1タイトル(42-23)
・ベレッティーニ 2タイトル(42-21)
思ったほど差が無い印象です。全員の勝利数がさほど変わらないのが分かります。
ただし敗戦数がトップ3は全然違います。ここが3者の強さの肝というところでしょう。
グループ分けはまだ発表されていませんが、ナダルは果たして出場できるのか、
そしてもしもナダルが出てきた場合、フェデラーはどちらの組に入るのかは重要なポイントとなります。
- 2019/11/06(水) 19:19:46|
- 2019年10月~12月
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若き四天王(というにはまだ早いか?)
によるベスト4対決となった上海マスターズ、
最後に制したのは最も勢いに乗るこの男、メドベージェフでした。。
決勝の相手ズベレフは元々一歩先に抜けてた選手で、これまで一度も勝つことはできなかったのですが
今回はストレートで勝利を収めました。ランク差、勢いの差がそのまま出た形となります。
夏場から絶好調で全米前でも優勝候補に挙げられたメドベージェフですが
以前の試合を見ると安定せずに急に崩れたりする場面もあって
正直、全米の優勝候補とまではいかないだろうと思っていました。
しかし、決勝まで進んだ挙句にナダルを相手にフルセットの戦いを演じましたし、
その後なんだかんだで6大会連続決勝進出中と久々に負けない選手の登場を見た気がします。
以前危ういと思ったメンタルも、ピンチや重要な場面で果敢に攻撃をしかけますし、しかもそれで絶大な効果を出していまして、いつの間に克服してしまったようにすら見えます。
今回、ベスト4に残ったは23歳くらいまでの選手はニュージェネレーションズと呼ばれています。
23歳といえば歴代の多くの王者達は既にNo.1に就任している年齢であるのですが
以前に比べて選手平均年齢が上がってきた今、23歳はまだ若い選手と分類していいのでしょう。
今回ベスト4に残った選手(メドベージェフ、ズベレフ、チチパス、ベレッティーニ)以外に、
現在のランク順でカチャノフ、オジェ・アリアシム、チョリッチ、デミノー、フリッツ、ルブレフ、ホルカシュ、
シャポバロフ、オペルカ、ガリン等がニュージェネレーションズに
該当するでしょうか。
ランクは下がってますが、ティアフォーやチョンなど若いながらも以前から名が知られている選手も当然入れていいでしょう。
24歳のキリオスはどうでしょう。ギリギリニュージェネレーションとは呼ばないかもしれません。
(区切りとしては1996年生まれ以下が対象となるでしょうか)
これら選手は次第に上位選手に勝つことができるようになっていますが、
特に
・ビッグ3に勝てるか
・グランドスラムでビッグ3に勝てるか
・グランドスラムを制覇できるか
という3つの巨大な壁を登らなくてはいけません。
ここから抜け出してくる選手がきっといるはずですし、まだ芽が出ていない選手が一気に出てくる可能性もあります。
以前はグランドスラムのみならず、マスターズですらビッグ4が支配していましたが
現在マスターズではもはや必ずしもそのような状況ではありません。
以下は今年のマスター優勝者です。
・ティエム
・フェデラー
・フォニーニ
・ジョコビッチ
・ナダル
・ナダル
・メドベージェフ
・メドベージェフ
まあ、8大会中4つをビッグ3が制してしまっていますのでまだその存在はとても大きいですが結構混戦模様になってきています。
特にメドベージェフは一昨年のズベレフ以来の、年間複数マスターズ優勝(ビッグ4は当然除く)となっていてその存在感を見せつけています。
因みにそれ以前のマスターズ複数優勝は2007年のナルバンディアンでした(当然ビッグ4は除く)。
ナルバンディアンの優勝はその年の最後の2つのマスターズでした(当時はマドリードとパリ)。
当時、年間通じて大暴れしていたのがフェデラーとナダルですがこの両者が小休止に入った年末に
優勝をかっさらったようなイメージでもあります。しかし実際は違うんです。
この時のナルバンディアンの優勝は素晴らしく、マドリードでもパリでもフェデラーとナダルの両方を下しているのです。
特に圧巻はマドリーの方で、2回戦のベルディフから、デル・ポトロ、ナダル、ジョコビッチ、そしてフェデラーと
今見るとものすごい面子を下しての優勝でした。当時デル・ポトロはまだ50位台でしたがジョコビッチは既に3位だったので
トップ3を全員下しての優勝だったということになります。因みにナルバンディアン自身は25位でした。
続くパリでもアルマグロ、モヤ、フェデラー、フェレール、ガスケ、ナダルの順に下しました。
翌年にはランクもトップ10に返り咲いていますがまあ正直、ここがナルバンディアンの最後の華だったといえます。
しかし当時、ナルバンディアンは25歳。今の感覚で言うとまだまだこれからの選手ではあるんですけどね。
当時はまだ25歳ピーク説が非常に有効な時代だったと申せましょう。
それよりも、同世代のフェデラーがこの後更に12年以上活躍することになるとは誰が想像したでしょうか。
少し話がそれてしまいました。
さて、今回で6大会連続の決勝進出を果たしたのがメドベージェフです。
現役の記録を見てみましょう。
6大会連続 メドベージェフ
7大会連続 マレー
9大会連続 ナダル
17大会連続!! フェデラー、ジョコビッチ
ん~次元の違う記録を見せて付けている選手はいますが、
ビッグ4に食い込んだということではその意味は大きいのではないでしょうか。
この記録もまだ継続中ですしね。
因みにフェデラーにはこれ以外にも9大会連続が1つと7大会連続が1つあります。
ジョコビッチには7大会が1つ、ナダルにも7大会が1つ、マレーには6大会が1つあります。
まあ、やっぱりこの人たちは次元が違いますね。
今後少しでもニュージェネレーションズがこういった記録に食い込んできますように。
され歴代でいくと、これ以上の記録があります。
そう、当サイトと言えばこの人。
イワン・レンドル。実に18大会連続!!おめでとうございます。
その他の記録を見てみると
13大会 ビラス、ボルグ
11大会 マッケンロー
9大会 コナーズ(2回)、ナスターゼ
となります。
その他、メドベージェフと同じ6大会連続というのを記録しているのが
ゴッドフリート、ケント・カールソン、ムスターの3人で
それ以外に記録を残している人がいないというのが驚きです。
サンプラス、アガシ、ベッカー、エドバーグ等、いずれも達成していません。
こうしてみるとメドベージェフ、ビッグ4が無茶苦茶なだけで、十分にすごいことをやってのけてますね。
今の選手たちは良い記録を作っても大したことがない評価されてしまうので気の毒で仕方がないです。
最後に連続記録保持者であるレンドルの凄い記録をもう一つ。
18大会以外にも、8大会が1つ、7大会が2つ、そして6大会が3つ!!もあります。
凄い!!
やっぱりこの人凄い!!
しかも、18大会の決勝の内訳は15勝3敗(83.3%)です。
17大会を記録しているジョコビッチは13勝4敗(76.5%)、フェデラーは12勝5敗(70.6%)ですから率も抜きんでてます。
まあ、敢えてケチをつけようと思えば付けられなくもないんですけどね。
というのもレンドルの18大会にはグランドスラムが一つもない。
1981年の秋から1982年にかけて作られた記録であり、年末ファイナルはあるのですが
当時全豪には出場していなかったため、グランドスラムは含まれていないのです。
そこへ行くとフェデラーとジョコビッチはいずれもグランドスラム4大会を含んでおり
それぞれ3勝1敗とさすがにグランドスラム戦績ということではレンドルを上回るものを見せてくれています。
どちらも唯一の敗退は全仏で、フェデラーはナダル、ジョコビッチはバブリンカでした。
メドベージェフは6大会のうち優勝は3大会です。
最初にキリオスに敗退しました、その時のスコアは「6-7 6-7」です。
あと2つの敗退はいずれもナダルで、あの激戦となった全米を含みます。
こうしてみると数字以上に非常に頑張った記録ともいえるのです。
ビッグ3をニュージェネレーションズが超えてきたという印象で語られる今大会ですが
肝心のメドベージェフは実はビッグ3と対戦していませんでした。
ビッグ3との対戦は精神をすり減らすとの理屈で行けば、ズベレフとチチパスに大変なところを担ってもらい
メドベージェフは漁夫の利を得たと取れなくもないのです。
もちろんシンシナティでジョコビッチを下してそのまま優勝していますのでそのような安易な評価が該当するわけではないのですが
正に先述の、ビッグ3に勝つ、グランドスラムで勝つという大きな壁に今後真っ向勝負で挑んでほしいと思えるそんな選手になってくれています。
- 2019/10/17(木) 12:25:50|
- 2019年10月~12月
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今回の上海マスターズは若いベスト4が揃ったことが話題になっています。
・メドベージェフvsチチパス
・ズベレフvsベレッティーニ
メドベージェフとベレッティーニが23歳、チチパスとズベレフは21歳です。
この若さの選手がマスターズでベスト4を占めるのは1999年のハンブルク以来実に20年ぶりとのことです。
並みにその時のメンバーはリオス、サバレタ、モヤ、ラペンティでした。
久々の若い選手達というだけでなく、今回はチチパスとズベレフが、ジョコビッチ、フェデラー
という巨頭2名を直接倒してのベスト4進出ということで衝撃度も強くなっています。
若い選手の台頭は随分前から期待されていたものでしたが、
活躍するにしても断片的でありテニス史上の巨大な存在を脅かすには至りませんでした。
今もってまだ脅かしているとまでは言えないのかもしれませんが、
それでも若い選手たちの中でも確実に強い選手が明確になってきています。
今回のチチパスvsジョコビッチもズベレフvsフェデラーもフルセットの接戦でした。
集中した中で打ち負けなかったというのは非常に大きかったのではないでしょうか。
まともな打ち合いで打ち負けないケースが増えているのは実力差が縮まっている証拠です。
ベスト4に残っている4人の中では、ベレッティーニがキャリアが一番少ない選手でしたが、
今年は2タイトルを取り(グラスとクレー!)、全米のベスト4で一気にランクを上昇させました。
現在自己最高の13位ですが大会終了後には間違いなく更に上に来るでしょう。
準々決勝ではティエムを下しました。ティエムはビッグ3に次ぐ地位の選手ですから
これも大型勝利だったといっていいと思います。
上位と当たる機会の少なかったベレッティーニはビッグ3との戦績がほとんどありませんが
その他の3人はなかなか有効に戦っています。
ジョコビッチに勝利したチチパスはこれでジョコビッチ戦を2勝1敗としましたし、
今年の全豪で2連覇中のフェデラーを下したのは記憶に新しいです。
ズベレフはフェデラーとの対戦成績を4勝3敗としまして、ジョコビッチにも2勝3敗と健闘しています。
メドベージェフはフェデラーからの勝利はありませんが対ジョコビッチは2勝3敗でこのところ2連勝しています。
皆、現在の最強選手であるジョコビッチと互角に近い戦いができているのは凄いです。
ジョコビッチは完璧な選手ですから、勝つには
総合力で負けずに、更に試合中にも好調を維持し続けないといけません。
立派に戦えているのはどの選手も世界のトップクラスであることを証明しています。
ただし、グランドスラムではまだ誰もジョコビッチに勝利できていない点は指摘しておく必要があるでしょう。
こうして見てみると、将来有望な若手の最大の壁はナダルであることがわかります。
ジョコビッチ、フェデラーとは互角に渡り合う力を備えている彼らですがナダルにはほとんど勝てていないのです。
いずれにしろ、今回ナダルは出てきていません。
この若手中心となったレースを誰が制するのか、
今後の勢力図を占う上でも大きな意味があるでしょう。
長くズベレフが若手をリードしてきていましたが、今年の勢いではメドベージェフが先頭に居ます。
ただし、そこに大きな差はありません。
西麓図がどう固まっていくのか、はたまたどの選手も今だけの勢いで終わってしまうのか
今大会だけでなく年度末までの争いや来年以降の争いも楽しみになってきます。
- 2019/10/12(土) 10:10:00|
- 2019年10月~12月
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