3回戦はボトムハーフの8試合が行われました。
ストレートで尚武が決したのはマレーだけというなかなかの熱戦ぞろいでした。
ロディックvsF・ロペス
カルロビッチvsリュビチッチ
アイズナーvsモンフィス
チリッチvsバブリンカ
ナダルvsコールシュライバー
など、興味を引くものが多く、いよいよ大会も盛り上がってきたと思わせます。
ロディックvsF・ロペスは、エース29本同士が飛び交う空中戦となりました。
(個人的な感想ではエースを連発しあう試合を
空中戦と呼ぶのに多少の抵抗もありますが・・・)
サーブの最速はそれぞれ219km、217kmと
両者のイメージからするとさほど速くはないのですが
むしろ1stサーブの平均が201km、199kmというほうに驚かされました。
平均が200kmですよ。凄い時代になったものです。
最速に比して平均が高いということは、
両者ともに1stサーブでのポイント取得率を上げようとしていたのだと思います。
現にロディックは80%、ロペスは74%の高確率でした。
試合はロディックが勝利しましたが、
1stサーブの入る確率はロディックが74%でロペスが58%、
2ndサーブのポイント取得率が67%、51%と、最終的にはこの辺で差が出たと思います。
両者ともチャンスがあればネットにも出るスタイルですが
ロペスのほうがよりネットへの依存度は高いでしょう。
ただ、昨日の試合ではロペス本来のスタイルからすればそう多くネットダッシュを仕掛けませんでした。
何度か強引に出て行くときもありましたがどのようなときは大抵抜かれていました。
やはり今は簡単なネットダッシュというのは難しいんですね。
カルロビッチvsリュビチッチ、アイズナーvsモンフィスも大変面白い組み合わせでした。
結果としてはどちらの試合もよりビッグサーブのほうが勝ちました。
カルロビッチは33本、アイズナーは26本のエースを炸裂させました。
先ほどロディックとロペスの平均200kmで驚きましたが
カルロビッチは212km、アイズナーが194kmとこの二人もまた異常な数字を記録しました。
特にカルロビッチは平均で212kmってちょっとおかしいですね。
相手のリュビチッチもサーブは素晴らしいものを持っていますが最速が216knでした。
さて、これで皆さんお待ちかね、次の試合でナダルvsカルロビッチが実現します。
現在、最も対極にある2人の選手と言ってもいいでしょう。
過去はナダルの2勝0敗ですが、一昨年のクイーンズではオールタイブレークのフルセット、
3セットマッチなのにカルロビッチのエースは35本という凄い試合をやっています。
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- 2010/01/23(土) 08:31:43|
- 2010年1月~3月
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全豪は1回戦の全試合が終わりました。
トップ勢では意外とフェデラーがてこずりました。
「4-6 6-2 7-6 6-0」ですので
一見すると立ち上がりに様子見でもしてたのかなと思わせますが
内容のほうは結構危なかったように思います。
アンドレエフは第3セットのタイブレークで精神力を使い果たしてしまいました。
あそこで取れなかったら第4セットのベーグルも止むなしでしょう。
これは去年のクレーコートでジョコビッチがナダル戦でしばしば見せた展開と重なります。
しかし初戦の目玉はトップシード勢の試合ではありません。
「カルロビッチvsステパネク」と「ユーズニーvsガスケ」でした。
これはドローを見た瞬間からの多くのファンの共通見解だったのではないでしょうか。
カルロビッチvsステパネクといえば去年のデ杯が思い出されます。
カルロビッチが78本という1試合のサービスエース記録を作った試合でした。
その時はステパネクが勝ちましたが今回はカルロビッチが勝利し雪辱を果たしました。
試合のほうはやはり5セットの熱戦でしたがカルロビッチのエースは34本と恐るべき少なさでした。
もちろんそれでも今大会1回戦の最多エース記録ではあるわけですが。
(アイズナーも34本だったので1位タイですね)
カルロビッチは5セットの試合で生涯2勝目を上げたことになります。
もう一つの注目試合、ユーズニーvsガスケは似たタイプ同士の対戦となりました。
とはいっても、今流行のフォアに回りこんでの逆クロス強打の連続という
単調で画一的なスタイルではありません。
まず両者共に今となっては数少ないシングルバックハンドで
それだけでも観たいと思わせる試合になります。
また二人とも強打もありますがカウンターショットに秀でており
ネットにも果敢に出てくるので多彩なラリーは見応え充分となります。
パワーに関してはややガスケのほうが上でしょうか。
試合のほうは「6-7 4-6 7-6 7-6 6-4」という大熱戦逆転劇でユーズニーに軍配が上がりました。
スコア自体は最後まで激戦という感じですが、ファイナルセットのみ
あれあれ?という少々気の抜けた展開だったのが少々残念でした。
ユーズニーは時々こういう素晴らしい試合をします。
実力も申し分ないことは重々承知なのですが何故か結果が出ませんね。
ストロークの球筋はいわゆるロシアンスタイルのフラット系です。
パワー型ではなくカウンターショットを多く使用しますが
ナルバンディアンのように常にライジングを狙うというのではなく
時には大きくベースラインの後ろに下がって粘りのプレーを見せます。
このような多様なプレーは長所と捉えることもできますが
同時に中途半端に思えてしまうこともあります。
私がユーズニーでいつも思うのは、スライスバックハンドのぎこちなさです。
ユーズニーのように片手打ちバックハンドで、
しかもバックハンドを得意としている選手は大抵スライスが巧いものです。
しかしユーズニーのスライスは、さも両手打ちの選手が
急遽覚えたものであるかのように、上から撫で切るような打ち方になっています。
このような打ち方でもナダルのように見事なコントロールを身につける例もあるので
打ち方自体が悪いというわけではないのでしょうが、
ユーズニーの場合は結構ミスが多くガスケ戦でもしばしばネットにかけてました。
予定外のユーズニー談義になってしまいました。
まあ、カフェルニコフ、サフィン、ダビデンコ、そしてユーズニーとくれば
ロシアの選手というのはこのような二面性を持っているものなのだなあ
と妙に納得してしまいもします。
さて、そんなこんなで2回戦が始まっています。
注目の試合は、トップハーフではダビド・フェレールvsバグダティス、
次点はハースvsティプサレビッチ、
ボトムハーフではデル・ポトロvsJ・ブレーク
次点はF・ロペスvsシュトラーといったところになるでしょうか。
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- 2010/01/20(水) 14:45:57|
- 2010年1月~3月
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いきなり更新が停滞しててすいません。
今年からまた気合いを入れて更新するぞ
と思った途端に熱を出してしまい出鼻をくじかれてしまいました。
回復しましたので改めまして更新を、
てゆーかもう全豪が始まってますよね。
まずシード選手ですが、2年ほど前までは第3シードのジョコビッチが、
フェデラーとナダルどちらの山に入るかというのがポイントでした。
しかし今は少し状況が違っております。トップ4シードの配置と
No.5のデル・ポトロが誰とベスト8で当たるかというのがポイントと思っていました。
しかし蓋を開けてみるとビックリ、デル・ポトロには4シードが付けられ、
なんとマレーが5シードに下がっておりました。
ランキングが逆転したわけではないのですが、
大会での過去の実績を取られたのでしょうか。
マレーはベスト8でナダルと当たります。この山は熱いですね。
また、この両者とベスト4で当たる位置にはデル・ポトロとロディックがいます。
この4人は既に初戦を終えており、順当に勝ちあがっています。
トップハーフではフェデラーとダビデンコ、
ジョコビッチとソデルリングの組み合わせでドローが組まれています。
ダビデンコは前哨戦でのフェデラー、ナダルを連続撃破しており
去年の年末の調子を持続させています。
今年はベテランに注目したいと思っているのでここでも是非活躍して欲しいです。
あっという間に負けてポストサフィンの称号を手に入れる可能性もあるでしょうか。
さてもう一つ、グランドスラムで気になる存在といえばノーシードです。
今年は去年までの最強ノーシード、サフィンの存在がありません。
しかし、見てみると、おや、と思うような選手が結構居ます。
多くはベテランですが、去年のステパネクやダビデンコの例がありますからあなどれません。
むしろ若手よりも中堅やベテランのほうが今は怖いかもしれないです。
ざっと取り上げますと、まずトップハーフでは
ヒューイットとバグダティスがフェデラーの山にいます。
この2人は前哨戦で熱戦を繰り広げました。コンディションは良さそうです。
また、モヤがダビデンコの近くに居ます。
心機一転で今年注目の一人と言えるガスケは
いきなり第20シードのユーズニーと対戦します。
実質的に最初からシード同士の対戦があるという感覚でも間違いは無いでしょう。
ボトムハーフでは
デル・ポトロの山にはブレークやラペンティが
ロディックの山にはクエリーやシュトラーがいます
また、ナダルの山のカルロビッチは早速第13シードのステパネクを倒しました。
ステパネクは去年の勢いをそのままこの大会には活かせませんでしたね。
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- 2010/01/19(火) 12:02:30|
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皆様、ご無沙汰しております。
本年もどうぞよろしくお願いします。
昨年は当サイト始まって以来の最も低い更新頻度で終わってしまった年となりました。
大変申し訳ありませんでした。
年内に行う予定であったデータ更新も滞ってしまっています。
これはなんとしても全豪までには行います。
さて、ATPは既に新しいカレンダーがスタートしています。
トップ選手たちも始動していますね。
では今年の展望を簡単に見ていきたいと思います。

まずフェデラーですが、いまもって実力トップの選手であることを証明しています。
対フェデラーの有力候補である他の選手達が、思いの外結果を出すのに手こずった
というのも大きな要因でしょう。
去年のフェデラーは、以前の「全ての試合に勝つ」スタイルから
グランドスラムなど「要所で結果を出す」スタイルに変化して
それが巧くはまりNo.1奪回を果たすことができました。
典型的なサンプラススタイルの戦い方といえますね。
ではフェデラーの時代はいつまで続くのかということになりますが
私はグランドスラム次第だと思います。
あのかつての圧倒的な強さをなくしたフェデラーも、
グランドスラムでは未だに誰よりも結果を出しています。
現在のポイント制度ではグランドスラムの結果はランキングへの影響が絶大です。
フェデラーのグランドスラムでの強さが続く限りNo.1は安泰だと思えますが
その一方で、他のトーナメントでは既にしばしば経験している、
格下への取りこぼしというものがグランドスラムでも出始めるようになると
途端にその地位は危うくなるのではないかと思います。
一昨年ナダルにランキングを抜かれたときも、崩れ出してからがあっという間でした。
強固なダイヤモンドもひとたびひびが入れば脆いように
フェデラーの自信が崩れたときが少々不安です。
フェデラーは2004年以来、実に6年もの間グランドスラムのベスト4より前で負けていません。
今後はこの強さを維持できるかが鍵になると思います。

No.2ナダルは間違いなく今年の前半が正念場です。
これは例年とは違った傾向になっています。
例年のナダルであれば年の後半にどれだけ結果を出せるかが
フェデラーに追いつくポイントだったのですが、今年は前半に山場が来ます。
ナダルの最後の優勝は去年の5月でした。
優勝の中には全豪やいくつかマスターズ1000大会が含まれます。
今年の前半だけで維持しなければならないポイントが大量にあるのです。
ここで去年の後半と同じような、結果を出し切れない状態が続くようだと
あっという間にポイントを落とし、ランキングもずるずると下げていってしまうでしょう。
逆に言えば前半を乗り切りさえすれば浮上するきっかけはいくらでもあるということになります。
トップ選手同士の対戦でどうにも結果が出せなかった去年の後半の状態を
いかに払拭できるかが鍵になるでしょう。

ジョコビッチは何だかんだで去年はいつもどおりという感じでした。
大きくは、前半は低調、後半は好調という形だったと思います。
このような形で波があるのは実に彼らしいです。
確かにグランドスラムの成績には不満がありました。
そこを挽回すれば今年は再浮上のきっかけをつかめると思います。
まずは、マレーに先を越されてしまった2位の座の奪取が目標でしょう。
当たったときは誰にも負けないほど強いのですが
その強さを持続させるわけではなく変なところでポカを出すのが
これまでのジョコビッチです。今年はどうでしょうか。

マレーは、去年の前半にブームを作りましたが後半には息切れをしてしまいました。
期待が大きかっただけにこの息切れにはがっかりしたファンもいるのではないでしょうか。
マレーもジョコビッチとはまた少し違う意味で強さが持続しない選手だと思います。
ジョコビッチがよくやる格下への取りこぼしのような変な負け方はあまりしませんが
トップ選手との対戦で勝ったり負けたりを繰り返す印象が強いです。
強力な選手の集まる大きな大会では1人に勝ってももう一人には勝てないといった形で
ベスト8、ベスト4の常連どまりになってしまっている傾向にあります。
マレーの今年の課題は間違いなくグランドスラム優勝でしょう。

デル・ポトロはランキングポイントでマレーに肉薄しています。
既に現在の状態を4強ではなく5強と呼んでもいいように思います。
何と言っても去年は全米でフェデラーに勝ったのが大きなポイントでした。
2003年のナルバンディアン以来誰も成し遂げていなかった快挙です。
去年の成績を見ると、東京やウィンブルドンのように早期敗退もありましたが
総じてベスト8、ベスト4以上が多く、安定して戦っていた印象です。
ジョコビッチ系の爆発力の選手かと思いきや
意外にもナダルのような堅実な結果を出しているんですね。
今年は1大会、1試合というよりも、ツアーの流れの中で
上位陣にどう食い込んでいくのかを注目したいと思います。

5強に続くベテラン勢、ロディックとダビデンコの今年はどうでしょうか。
去年は、夏場はロディック、後半はダビデンコが頑張りました。
ロディックのサーブは相変わらずツアー最強クラスですが、
かつては強力と思わせたストロークやリターンは現在の視点では決して最強ではありません。
むしろ速いコートに合致したコンパクトなスイングが目立ちます。
またダビデンコも相変わらずのダイナミックな強打を持ってはいますが、
去年のパフォーマンスはパワーだけでなくペースを利用した打ち方がよかったのが印象に残っています。
ヒューイットやナルバンディアンのような極端なスタイルではないとはいえ
技術型のプレーを見せてきているところにベテランの味を感じさせます。
かつてのパワー型をうまく技術型に移行させられたのが選手寿命の長さに繋がっているのかもしれません。
現在ランキングでそれらに続いているのはソデルリングやベルダスコといった中堅です。
また去年はこの他にベテランのステパネクや若手のチリッチの活躍がありました。
全体的に様々な世代の選手が活躍したことになります。
強いて言えば新顔の活躍が目立たなかったといえるかもしれません。
ベテランや中堅の頑張りが若い選手の行く手をさえぎった形になります。
こういうときは、力をためた若手が一気にブレークする可能性もあります。
しかし同時にちょうど狭間の世代に入っているとも考えられます。
同じような例がフェデラー世代とナダル世代の中間になりますね。
現在の中堅の選手たちですが、ずば抜けた選手は存在していません。
同じようにサンプラス、アガシ世代も素晴らしい選手がいましたが
その少しあとの世代は人材が不足していました。
これから出てくるのはナダル世代の次の世代ということになります。
80年代後半~90年代前半生まれの選手がこれにあたります。
ここが狭間の世代なのか、あるいは突如として新星が現れるのか、
今後の若手に注目してみるのも面白いかもしれません。
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- 2010/01/06(水) 12:00:42|
- 2010年1月~3月
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