ナダルは今回の優勝で21回目のグランドスラムタイトルを獲得しました。
これはもちろん歴代最多となります。
大会前まではフェデラー、ジョコビッチと並んでいたわけですが優勝数で単独首位となりました。
そして、決勝勝率もこの2人よりも高いという数字が出ています。
フェデラーとジョコビッチは優勝20回で準優勝が11回あります。
ナダルは優勝21回で準優勝は8回です。
決勝進出の回数が少ないということもできますが決勝勝率はナダルが一番なのです。
フェデラーとジョコビッチはそのキャリアにおいてほぼ休みなくグランドスラムに出場していましたが
ナダルはたびたび欠場があったというのもあります。グランドスラム出場数は3人で一番少ないです。
フェデラーがダントツで多い81大会というのは理解できますが、
キャリアでは後にデビューしたジョコビッチが66大会であるのに対してナダルは63大会となっています。
今回ナダルは2009年以来13年ぶりに全豪で優勝を獲得しました。
13年ぶりというこの数字、もちろんオープン化後では最長の優勝ブランクとなります。
これを破る記録が出るとしたら今年の全米でフェデラーが優勝するしかないです。
一応オープン化前では、更に上をいくローズウォールの記録があります。
1955年に全豪に優勝した後、次に優勝したのは1971年でした。その間、実に16年!
しかし、途中プロ入りしたために大会に出ていなかったという状況があります。
勝負ごとに「たられば」はご法度とよく言われますが、どう考えてもローズウォールであれば
途中絶対に全豪で一回は優勝していたでしょうね。
ナダルは全豪で2回目の優勝を果たしたわけですが、準優勝は4回あります。
これは、オープン化後ではマレーの5回に次いで多い記録でした(オープン化までだとブロムウィッチも5回あります)。
準優勝が全部で8回のナダルですからその半分が全豪というわけです。
因みにビッグ3では、フェデラーには全仏とウィンブルドンで4回の準優勝があり
ジョコビッチにも全仏で4回と全米で6回もの準優勝があります。
あまり準優勝に着目しないですが、3強は準優勝でも(言い換えれば決勝進出でも)多く記録を作っているわけです。
さて、今回決勝で2セットダウンからの逆転勝ちを収めたナダルですが、
前回の記事でも取り上げた通り、ナダル自身初めてのことでした。
3強全体でもジョコビッチに1回あるのみで61回中僅か2回という珍しい記録だったのです。
もっともそれほどビッグ3が強くて、2セットダウンになることすら少なかったということではあるのでしょう。
(2セットダウンからの逆転勝ちが最も多い選手はフェデラーなので、
「グランドスラム決勝では」という但し書きをしておくのが正解かもしれませんが)
オープン化後ではグランドスラム決勝で2セットダウンからの逆転優勝というのは7例目となります。
・2022 全豪 ナダルvsメドベージェフ
・2021 全仏 ジョコビッチvsチチパス
・2020 全米 ティエムvsズベレフ
・2004 全仏 ガウディオvsコリア
・1999 全仏 アガシvsメドベデフ
・1984 全仏 レンドルvsマッケンロー
・1974 全仏 ボルグvオランテス
かなりのレアケースということがわかります。全豪では初めてのケースでした。
そして驚くべきことにそんなレアケースがここ3年毎年行われているということです。
更にそれ以前の4例は全て全仏でしたので、
ここ3年の逆転決勝の異様さというのは更に特筆されるものだといるでしょう。
今回達成されてしまったメドベージェフですが、1999年にも名前がありますね。2例とは珍しい。
まもちろん別人です。当ブログでは便宜上表記を変えていますが、スペルは一緒です(Medvedev)。
ウィンブルドンではまだ達成がありません。今年から来年の決勝はもしかしたらもしかしますかね。
因みにオープン化前であれば更に18例あって、中にはウィンブルドンの記録もあります。
ビル・チルデンは3回で最多の達成、ロッド・レーバーも2回達成してます。
複数回の例はこの2人だけです。さすがどちらも歴史に名を残す選手です。
やられた方ではジョンストンがチルデンに2回やられています。これが唯一の複数回経験者です。
また、ロイ・エマーソンがレーバーにやられた後にストールを相手に達成しているので
やったほうとやられた方を両方経験した唯一の選手となっています。
さて、ビッグ3がグランドスラム決勝で強いのはわかりましたが、
ストレートでの敗退というのも確認してみました。
・フェデラーが1回(2008年全仏vsナダル)
・ナダル1回(2019年全豪vsジョコビッチ)
・ジョコビッチ4回(2007年全米vsフェデラー、2013年全英vsマレー、2020年全仏vsナダル、2021年全米vsメドベージェフ)
となりました。この中ではジョコビッチが少し多いですが、それでも破格の少なさです。
やはり改めてグランドスラム決勝でのこの3人のヤバさというものが伺えます。
こうなると皆さん知りたくなる情報ありますね。
そう、アンディ・マレーです。調べました。
マレーは4回※(2008年全米vsフェデラー、2010年全豪vsフェデラー、2011年全豪vsジョコビッチ、2016年全豪vsジョコビッチ)でした。
うわお、意外と少ない。マレーは準優勝の数はナダルと同じ8回ですから、十分頑張っているといえます。
※修正しました。3回ではなく4回でした。Euphausia様ありがとうございます。
マレーはグランドスラムすべて準優勝を経験していますが、これって結構いないんです。
フェデラーは達成していますが、ジョコビッチは全豪、ナダルは全仏で経験してないですから。
あれ、もしかするとかなり少ない記録なのかな。
調べました。
グランドスラム全てで準優勝経験達成者は
・マレー
・フェデラー
・レンドル
オープン化後ではこの3人だけでした。
オープン化前でも、レーバー、ローズウォール、ジャック・クロフォードの3人しかいません。
全部で6人。ちょっとナダルから外れてしまいましたがこれは凄い記録と言えます。
生涯グランドスラマーより少ないわけですから。
まあ中には生涯スラマーも兼任しているヤバい名前が二つほど見えますがね。
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- 2022/02/01(火) 18:02:00|
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過去の試合第二弾はまたもロディックを取り上げます。しかも負け試合。
しかし勝ち負けでなく、当時最高の試合を見せてくれていたのがやっぱりロディックなんですよね。
2001年はヒューイットのベストイヤーですから勝てなかったのは仕方ないのですが
当時はロディックの評価もうなぎのぼりでした。
サーブが圧倒的なのは既に全てのファンが知っていましたがリターンの数値が高いというのも話題になっていました。
これは凄い選手が出てきたものだと。プレーも実に勢いがあって観ていて楽しい選手という感じでした。
正にその当時のノリにノった選手同士の対戦がこの全米の試合だったのです。
この年の年度末にNo.1に就任するヒューイットですが、大会当時は第4シードでした。ロディックは第18シード。
サンプラスが第10シードで、フェデラーは第13シドでした。正に混戦の時代でしたね。
参考までにトップ3シードはクエルテン、アガシ、サフィンです。
誰が勝つかの予想は当時非常に難しかったと思います。
もう信じられないかと思いますが、実は私、この時ヒューイットの優勝を予想してたんですよ。
当サイトが始まる実に4年も前のことですね。私でも予想が当たる時代があったんです。
大会は結構凄い展開になりました。フェデラーはアガシに敗れています。
そのアガシは準々決勝でサンプラスに敗れました。この時の試合は両者の多くの対戦の中でもベストマッチの一つです。
サンプラスは4回戦でラフター、準決勝ではサフィンと相当な難敵を下して決勝に勝ちあがりました。
決勝ではヒューイットに敗れるわけですが、そのヒューイットも
ハース、ロディック、カフェルニコフと実力者との連戦を潜り抜けての勝ち上がりでした。
誰が勝つかわからない時代ですから難敵がたくさんいるんですよね。
そしてこの大会屈指の名勝負がサンプラスvsアガシとそしてこのヒューイットvsロディック、
どちらも準々決勝で行われたわけです。
ヒューイットとロディックは全部で14回対戦していまして7勝7敗です。
生涯を通じてある意味ライバルと言っていいほど拮抗した戦績を残している両者ですので納得と思えるのですが
実は最初の7戦ではヒューイットが6勝1敗で、その後ロディックが6連勝するという具合に
両者の力関係は時代で意外なほど落差がありました。
さて、試合の方ですが、前回取り上げたサフィンvsロディックに劣らぬ壮絶な打ち合いが展開されます。
印象ではパワーのロディックと防御のヒューイットと思われるでしょうが、なんのなんの、
パワー差があるのはサーブだけで、ストローク戦では全く遜色ない素晴らしいショットをヒューイットも見せていました。
むしろ決めの一撃における鋭さではヒューイットの方が上と思えるほどで、これはこの年No.1になるというのも納得の好プレーでした。
しかし、それに食らいついて一歩も引かないロディックのプレーも見事なものです。
何だか後のマレーを思わせる部分が感じられました。
ショットレベルではジョコビッチやナダルの方が一つ上なんだろうけど、
頑張って喰らいついて好ゲームにしてしまうあの不思議なまでの必死さと言うんでしょうか。
ヒューイットもロディックも、目立ったショットの特徴としては、
上から叩きつけるタイプのものはあまり多くありませんでした。
今の多くの選手の方が高い打点で打ってるかなと思いました。
相手ショットもペースを利用したカウンターショットや
腰の高さ当たりボールに対するナチュラルトップスピンでの処理が目立ちました。
両者ともに芝のコートを得意としていましたがそれも納得という感じのプレースタイルといえます。
もしかしたら時代とともにボールのはね方にも変化があるのかもしれません。
いやしかし、ロディックもそうなんですが、ヒューイットって強かったんですね。
当時も観てはいたはずなのですが、今回改めて観てそのキレのあるプレーには驚かされました。
この試合は実に今から19年も前ということになります。
この両者のプレーなら今でも十分通じるとは思いました。
この後にティエムの試合を見たら、そのもの凄いショットパワーにちょっとびっくりしましたが
決して対抗できないものではないという気はします。
ヒューイットとロディックの試合では2009年ウィンブルドンもフルセットの凄い試合でした。
こちらでもよかったのですが、両者とも全盛期は過ぎていた頃ですからね。
やっぱり若い頃の方が両者らしいプレーになっているといえるでしょう。
まあこの2名に関しては全盛期が早すぎて、
全盛期を過ぎてからこそがキャリアの本番だったといえなくもないわけですが。
- 2020/05/15(金) 19:34:13|
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さてATPツアーも長い休止状態が続いています。
ブログも休止だなあと漠然と思ってましたが、
こういう時こそデータサイトとしての威力を発揮しなくてはいけなかったですよね。
少しずつでも記事の方アップしていこうと思ったわけであります。
本当は色々な角度からのデータ集計などができればいいのですが
ちょっとそれ向けのまとまった時間がとれないので、まずはいくつか過去の試合の感想などを。
最近、過去のテニスの試合の流し見などを結構してます。
そこで印象に残った試合の感想を上げていこうと思います。
まずはこれ。
〇2004年全豪準々決勝のサフィンvsロディック
当時ロディックは世界1位でしたがサフィンはランクを落としていて86位でした。
しかし元No.1で実力は折り紙付きということで試合前から大いに期待が集まっていたのを記憶しています。
当時生でも観ていた試合でしたが、今回改めて15年振りに再視聴したわけです。
両者は生涯で7回対戦していまして、ロディックの4勝、サフィンの3勝となっています。
同世代の元世界No.1同士ですからもっと対戦してていいと思えますが7回とは異様に少なく感じます。
まあ今の3強を基準に見てしまえばそこはやむを得ない部分もあるのでしょうね。
ただ、この2人の試合は数は少ないながらも内容は素晴らしいものが多く、
過去試合の閲覧としては非常におすすめの組み合わせといえます。
さて、では実際に2004の全豪の試合ですが、こちらはもう素晴らしい試合でした。
スコアは「2-6 6-3 7-5 6-7 6-4」でフルセットでのサフィンの勝利でした。
エースの数はサフィン19本、ロディック18本。2ndサーブのリターン側の取得率はともに44%、
トータルポイントは僅差ですが負けたロディックの方が上という数字の上からでも激しさが分かるものでした。
サーブも強いがリターンも強いという大型の両者の対決は、超攻撃型のショット一辺倒かと思いきや
良く動き、良く守り、フォアもバックも同程度のパフォーマンスを見せ、ネットにも出るという
観ててわくわくるするような展開が終始続くというものでした。
こういう、何でもできる超大型選手がこれからのテニス界を支配していくんだろうな
とは当時も観ていて思ったものです。
サーブはサンプラスよりも強く、リターンはアガシよりも強い(この評が正確かどうかはともかく当時の印象で)
という両者ですからそりゃテニス界を王座を勝ち取ると思いますよね。
まさか、それを超越した圧倒的選手が現れて、というかすぐそこにいて、
そこから15年経ってもまだ王座に近しいところに居座り続けるであろうなんてこの時には想像もしませんでした。
因みにジョコビッチはこの時まだデビューしたばかりの若者でした。
プレーを少し詳しく見ますと、15年も前とはいえ、両者のショットは素晴らしく、
威力も質も今でも十分に通じるのではないかと思わせるものでした。
サーブの威力もアンダーソンやキリオスなどと何の問題もなく張り合えるんじゃないかと思えます。
そんな中、敢えて違う点を上げるとすれば守備力になりますかね。
確かに両者ともによく動きカウンターショットも見事なものがあります。
当時としてはトップクラスの守備力を持つ選手だったと思うのですが、今のレベルは全体的に少し上なんじゃないかと思いました。
もちろんナダルやジョコビッチと比べるのは流石に気の毒ですが、
他にも例えばティエムやメドベージェフなど、超攻撃力を持ちながらハイレベルな守備ができる選手が今は多くいます。
当時でもヒューイットのフットワークやナルバンディアンのカウンターショットなど
今でも通じるワールドクラスの守備力を持つ選手はいましたが、
どちらかと言えば守備の人であり、攻守ともに最強という印象ではありませんでした。
結局、当時両方を兼ね備えていた唯一人の選手が頂点を極め、そして他を圧倒していったのはある意味当然のことかもしれません。
極論ですが15年時代を先取りしていたとすらいえるのではないでしょうか。
さて、この壮絶な試合を勝ち抜いたサフィンですが、この後の準決勝でもこれまた歴史的と言ってもいいような見事な試合をアガシと行います。
サフィンはその前にもジェームス・ブレーク、トッド・マーチンなどアメリカの名手を相手に壮絶な試合を連戦していました。
しかし、激戦をくぐりぬけ、圧倒的な精神力で決勝に向かうサフィンが頂点に立つであろう、と予測した人は意外にも多くなかったのでした。
私はこの時、ボトムハーフ側の試合をダイジェストでしか見ておらず、サフィンの凄い試合ばかりを目の当りにしていたので
これでサフィンが勝たないというシナリオはないだろうと思っていたのですが、
まあ世界のちゃんとしているテニスファンの視点というのは当時から流石なんですね。
海外メディアの論調では、凄い才能の選手が決勝に来たぞ、サフィンも頑張ったがここまでか、可哀そうに、くらいの勢いでした。
結果全くおっしゃる通りで、満身創痍のサフィンは決勝でテニス星人に哀れにも屠られてしまったのでした。
今振り返るとテニス星人側も、ヒューイット、ナルバンディアン、フェレーロという難敵を下して勝ち上がっていますから
その勝ち上がりは見事なものだったわけです。しかもヒューイットとナルバンディアンは当時苦手としていた相手で
それを克服しての勝ち上がりだったわけですからね。
さて、というわけで最後は別の選手の話になってしまいましたがサフィンとロディックの試合観戦の感想でした。
良い試合だったのですが非常に長い試合でもあります。
ネットにダイジェストが上がっていたと思うのでもしも気になる方はそちらご覧になってみてください。
過去の試合というのもまたいいものですね。
- 2020/05/13(水) 09:10:02|
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2019年シーズンが終わったわけですが、ATPのサイトに2010~2019の
いわゆる2010年代の総括が特集されています。
これによると2010年代最古の選手はジョコビッチ。ナダルが2番手ということになります。
まあ当然と言えば当然ですね。
グランドスラムは全40大会のうち、15がジョコビッチ、13がナダル、フェデラー5、マレー3、バブリンカ3、チリッチ1となります。
マスターズはジョコビッチは29、ナダルが20、フェデラー12、マレー10です。
バブリンカは1しかありません。ここについては3のズベレフが第5位の選手になります。
ATPファイナルはジョコビッチが4、フェデラーが2です。複数獲得者は2名だけ。マレーは1、ナダルは0です。
オリンピックは2度の開催があり、いずれもマレーが取りました。コーチのおかげです。
年末No.1はジョコビッチが5、ナダルが4、マレーが1です。フェデラーの最後の年末No.1は2009年なのでここには入ってきません。
という具合にオリンピックを除くすべての分野でジョコビッチが1位を獲得しました。
ジョコビッチは直接対決でも王者感を出していまして、対ナダル21-12、対フェデラー22-14、対マレー21-8となっています。
トータルで64勝34敗。これは凄いです。
テニス史では10年ごとに時代を区切ることが多いです。私もこの区切りをよく使います。
80年代はどういう時代、90年代はどうだったという風に。
2000年代から2010年代にかけては少し特殊で、3強とか4強というくくりでこの長期の時代が語られます。
ここはせっかくなので2000年代もみてみましょう。
グランドスラムは、15がフェデラー、6がナダル、アガシが3、サンプラス、クエルテン、サフィン、ヒューイットが2。
マスターズはフェデラーが16、ナダルが15、アガシが6、サフィンとジョコビッチが5、ロディック、フェレーロ、マレーが4。
ATPファイナルはフェデラーが4、ヒューイットが2、クエルテン、ナルバンディアン、ジョコビッチ、ダビデンコが1。
オリンピックは3度の開催で、カフェルニコフ、マスー、ナダルが1ずつ。
年末No.1はフェデラーが5、ヒューイットが2、クエルテン、ロディック、ナダルが1です。
予想通りフェデラーの時代といえます。2位がナダルというのがわかります。
敢えて年代を分けるとするならば、2000年代はフェデラー時代、2010年代はジョコビッチの時代ということになるでしょうか。
いずれも圧倒的な支配力ですが、2000年代のフェデラーと2010年代のジョコビッチではむしろジョコビッチの方が数字を稼いでいますし
対戦成績で言うとフェデラーは2000年代でナダルに7-13と負け越しているのもあり、
直接比較だとジョコビッチの支配の方が大きいということになります。
それでもフェデラーの方がキャリア全体でジョコビッチよりも上を行っているのは
2000年代のジョコビッチと2010年代のフェデラーの差ということになるでしょう。
息の長さでフェデラーが差を付けているということになります。
そして当然のことながら10年区切りのどちらでも2位に入っているナダルの存在もまた特異といえます。
テニス史を俯瞰し、10年区切りの2時代に渡って2位に入ってくる選手など果たして存在したのでしょうか。
一部、私の偏見も入るかもしれませんが、過去の年代ごとの1位と2位を見てみましょう。
《10年ごとの勢力図※》
1920年代 1位:チルデン 2位:コシェ 3位:ラコステ 4位:ジョンストン
1930年代 1位:バッジ 2位:ペリー 3位:バインズ 4位:ニュスライン
1940年代 1位:クレイマー 2位:リグス 3位:パーカー 4位:バッジ
1950年代 1位:ゴンザレス 2位:セッジマン 3位:クレイマー 4位:セグラ
1960年代 1位:レーバー 2位:ローズウォール 3位:ヒメノ 4位:エマーソン
1970年代 1位:コナーズ 2位:ボルグ 3位:ナスターゼ 4位:ビラス
1980年代 1位:レンドル 2位:マッケンロー 3位:ビランデル 4位:コナーズ
1990年代 1位:サンプラス 2位:アガシ 3位:ベッカー 4位:エドバーグ
2000年代 1位:フェデラー 2位:ナダル 3位:ヒューイット 4位:ロディック
2010年代 1位:ジョコビッチ 2位:ナダル 3位:フェデラー 4位:マレー
ということで、やはりナダルが唯一の選手といえそうです。
この中で疑問符が付くとすれば40年代と50年代でしょう。
40年代は大戦に阻まれた時代があり、他と同じような感覚で乗せるのは難しい部分があります。
また50年代はゴンザレスの1位は疑いなしですが2位候補が非常に多く、
例えば現在、4強以外で一番強い選手を上げるのに似た難しさがあります。
中には50年代の2位はクレイマーだという考え方もありえます。
そうなるとクレイマーは40年代の1位と50年代の2位ということでナダル以外にも達成できた例とすることが可能です。
ただ、クレイマーのトップとしての活躍は実質46年から53年までで、
先にも述べた通り40年代は時代区分として扱うのが難しく、大戦がなければ40年代前半のバッジやペリーの時代がもっと続いたかもしれませんし、
50年代も後半にはクレーマーは引退していたので時代を長く支配していたという評価は少し無理があるかもしれません。
もっとも、50年代前半のクレイマーの強さは抜群でしたので選手としての素晴らしさは言うまでもないわけですが
ここでのナダルと同じような評価という考えからは除外されることになるでしょう。
50年代の2位が混乱するおかげて、もう一人、可能性のある選手がでてきます。ローズウォールです。
60年代の2位については疑う余地はないでしょう。これに加え、50年代の2位の可能性も浮上します。
ただ個人的にローズウォールの50年代の活躍は、悪くはないものの2位とするには無理があると思います。
この時代の2位候補としては、セッジマン、クレイマー、ローズウォール、セグラ、トレイバート、ホード等の名前を上げることができます。
敢えてここで私が順位をつけるならば、セッジマン、クレイマー、セグラ、ホード、ローズウォール、トレイバートとなります。
やはりこの時代はゴンザレスの支配が圧倒的でした。
その意味で、同じように圧倒的な支配力を持つフェデラー、ジョコビッチの両時代に、
同じだけ長く2位でいるナダルの唯一性というのはやはり格別のものがあると言っていいでしょう。
※2019/12/23追記)
勢力図表を2位から4位までにしました。
この結果、2位に2度入っているナダルと同じように、
1位と3位に入っているフェデラーの特異性も評価することができるようになりました。
一応他にも、クレイマーが1位と3位、バッジが1位と4位に入っていますが
どちらも多くの意味で問題を抱える40年代にかかっていますので評価は難しいところです。
30年代の4位にはチルデンかフォン・クラムが、
60年代の3位や4位にはゴンザレスやホードが入るのではという考え方もあるでしょう。
90年代もクーリエ、チャン、イバニセビッチ、カフェルニコフ等がいます。
この辺り意見は分かれるところでしょうが、
全体的に長く優れた活躍した選手を評価したといえます。
あとコナーズが70年代の1位と80年代の4位に入ってますね。こちらもさすがです。
何かとフェデラーの前に立ちはだかる記録保持者なだけあります。
またアガシは、2000年代だと5位になります。僅かに惜しい記録です。
グランドスラムなどのタイトルでは3位に入ってもおかしくない選手だったのですが
2000年代全体の活躍という点でランク入りを逃しました。
- 2019/12/19(木) 17:48:00|
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前記事のコメント欄で少し話題に出ておりましたフェデラーとナダルの時代にATP NEXT GEN Finalがあったら
ということで面白そうなので調べてみました。(tote様ありがとうございます。)
まずフェデラーですが、ウィンブルドンでサンプラスを下したセンセーショナルな年、2001年を取り上げてみます。
時にフェデラー20歳。
当時のランク上位から対象年齢の8名をピックアップします。
結果は以下の通り。数字は当時のランキングです。
01 ヒューイット
05 フェレーロ
11 サフィン
13 フェデラー
14 ロディック
30 ロブレド
34 ヴィンチゲラ
44 コリア
錚々たる面々です。ヴィンチゲラのみ今では無名ですが、他はテニスファンならば誰もが知っている名手ばかり。
ニューボールズと呼ばれていた若手選手たちが猛威をふるっていた時です。
この少し後には、ゴンザレス、ダビデンコ、ナルバンディアン、フェレール、ユーズニー、ロペス、ベルディフ、ベルダスコ
といった選手がトップ10やトップ20にランク入りしてきます。正に同世代群雄割拠といった様相です。
次に同じくナダル20歳の時を見てみましょう。2006年です。
02 ナダル
12 バグダティス
13 ベルディフ
16 ジョコビッチ
17 マレー
18 ガスケ
30 バブリンカ
32 アルマグロ
こちらも見事に後の有名選手だらけです。
両方の時代には5年の差があるものの、今と比べて隔絶の感があるのが、若手のランク上位者の存在です。
2001年の方ではヒューイットはNo.1だし、2006年のナダルは不動のNo.2でフェデラーとの2強時代を形成していました。
当時ネクストジェネレーションズファイナルがあったとしても上位の何人かの選手は不参加だったことになるでしょう。
一応今年もチチパスとシャポバロフが権利はあるもののスキップという形をとりました。
チチパスはファイナル進出者ですが、シャポバロフはそうではありません。
この大会は、ポイントと関係のない大会ということで、顔見せというか存在感アピールの場でもあるように思います。
既にある程度実績を残している選手であれば不参加となるのはやむを得ないでしょう。
例えば2001年であれば上位4~5人は欠場したのではないかと思えます。
こうなるとジュニアの大会とあまり変化がないものになってしまい、大会自体成立しなかったしれません。
もう少し若手に頑張ってほしいという運営側の思いから作り出された大会であることは疑いの余地もありません。
この10年ほどで新しい選手というのが本当に出てこれなくなっていたということなんでしょう。
つまりネクストジェネレーションズの大会を生み出したのはまぎれもなくフェデラーやナダルなのです。
フェデラーとナダルに対抗しうる新しいNo.1候補として、ジョコビッチとマレーが登場しこの2人は成功しましたが
フェデラーとナダルを駆逐したわけではなく、より強固な4強時代を形成することになりました。
これを崩す新しい存在というのが何人も登場し、そして撃沈していったのです。
デル・ポトロ、チリッチ、錦織、ラオニッチ、ゴファン、ディミトロフ、ティエム、キリオス・・・。
そして現在はズベレフ、メドベージェフ、チチパスらがその座を引き継いでいます。
デル・ポトロとチチパスの年齢差は10歳です。
これ、異例です。
だってフェデラーとの年齢差差じゃないですよ、フェデラーを駆逐するだろうかと期待された候補選手同士の差が10歳です。
10歳といえばテニス界では大きな差です。
例えば、サンプラスとフェデラー、レンドルとアガシ、ボルグとエドバーグなどが10歳差です。
旧世代側の息が長く、新世代も若くして出てきていないと対戦が実現しないようなそんな差です。
上記例でいえば、サンプラスは長かったですがフェデラーが早熟ではなかったので1度しか対戦は実現しませんでした。
レンドルとアガシは、長寿&早熟ということで何度か対戦が組まれました。
ボルグについてはエドバーグとの対戦はありません。デビューよりも前に引退してしまっています。
仮にチチパス達でもダメで、今、NEXT GENを戦っている中でも最年少のシナーがようやく次の時代を作る、
ということになると、フェデラーとは実に20歳差の世代交代ということになります。
- 2019/11/08(金) 17:45:34|
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前記事のコメント欄で質問をいただきました。
(たかはし様ありがとうございます)
コメント欄で返信と思いましたがことの他大きな内容になったので改めて記事を上げることとしました。
以下、質問内容です。
>ナダルに破れたロンデロは初のGS本戦で4回戦まで勝ち上がりました。
>万が一にでもナダルに勝っていれば、1996年ウィンブルドンのアレックス・ラドゥレスク以来の初GS本戦QFでした。
>4回戦でも2012年全仏のゴファン以来です。
>そこで気になったのですが、初GS本戦の最高成績って誰のどこまで何でしょうか。
>管理人はご存知ですか。
そりゃあ、ビランデルとナダルでしょう。
と、いとも簡単に答えを出そうとしたのですが、待てよと念のために調べたところ、違っていました。
すいません。これは完全に思い込みでした。
確かにビランデルとナダルは全仏初出場で優勝しているのですが
「グランドスラム」ということになると両者全仏が初出場ではありません。
じゃあと調べてみましたが、結構難しいんですね。
これ、という選手がいないんです。
そういうデータをまとめているサイトも見つからず、なかなか難しいデータ集めとなりました。
突き詰めれば、第1回ウィンブルドン優勝のスペンサー・ゴアがそれに該当するのは間違いないんですが
それではあまりにも雑な結論になってしまいます。
オープン化前であれば確かに初出場初優勝というのもいるのですが
さすがにここでは、オープン化後でデータをまとめるべきだと思います。
オープン化は1968年全仏ですので、それ以降に初出場を果たした選手の最高成績が必要です。
で、もう仕方がないので手当たり次第に調べてみました。
全ての選手は無理なので、とりあえずグランドスラム優勝者に絞って調べました。
しかし、強い選手でも最初は大変なんですね。好成績がないどころか1回戦敗退の多いこと。
フェデラー、ジョコビッチ、ヒューイット、ロディック、クエルテン、アガシ、サンプラス、ビランデル、レンドル、コナーズetc.
逆に下手に才能があるがために未成熟でも本戦に出場できてしまったがための結果とでもいえましょうか。
オープン化後ではないですが、あのロッド・レーバーでさえ最初の年は4大会全てで1回戦敗退でした。
そうした中で突き止めた最高成績というのが、ボリス・ベッカーのベスト8です。1984年全豪。
例として挙げていただいたアレックス・ラドゥレスクと同じ成績ということになります。
大変失礼しました。84年の全豪は年末開催でしたのでベッカーは初出場ではないです。
コメント欄でたかはし様が詳細に調査してくれています。どうぞご参照ください。
惜しかったのはマニュエル・オランテス。
彼も初出場ベスト8なのですが、それが1968年の全豪のことでした。
そう、1968年は全仏からがオープン化であり、その直前の全豪はオープン化前の最後の大会だったのでした。
ぎりぎりで選から漏れてしまったわけです。
その他ではボルグとサフィンの4回戦、ナダルとマレーの3回戦あたりがビッグネームの良いデビュー戦ということになります。
もう少しいろいろと調べてみたところ、それ以上の成績というのは出てこないんです。
ちょっとわからないですが、多分、多分ですよ、ボリス・ベッカーとアレックス・ラドゥレスクのベスト8というのが
オープン化後の最高記録なのではないでしょうか。
ラドゥレスクはルーマニア出身ですがのちにドイツに帰化しています。
この稀代の成績を収めた両選手がどちらもドイツ選手ということは感慨深いです。
ドイツ選手のベスト8といえば、ズベレフ(現時点)とコールシュライバーのGS最高成績もベスト8ですから
何やら因縁めいたものを感じます。
そうなるとロンデロ、実に惜しかった記録でした。まあしかし相手はナダルですからね。
グランドスラムデビューでナダルと4回戦で当たるなんてそれだけでも凄いことです。
- 2019/06/04(火) 18:04:00|
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2017年の全米ではナダルが優勝しました。その強さの印象は圧倒的でした。
優勝までにセットを3つ落としたのですが、いずれも第1セットでした。
第2セットを以降の展開が凄かったので更に強さの印象が強まったと思います。
強い選手は第1セットを様子見で落としても試合は挽回してしまうのです。
というわけで、歴代選手たちの第1セットを失った後の勝率を調べてみました。
さて、では早速問題です。
第1セットを失った後の勝率、最高の数字を出している選手は誰でしょう?
ヒント:ほぼ2人います。
↓ 答えは下の方
正解は・・・
レンドルでした。
大抵私がこういうクイズ出すときは、ほとんど答えがレンドルですから
そこから正解した人も多いんじゃないかと思います。
次点でサンプラスとなります。
何故次点かと申しますと、ほぼ同じ勝率で僅か数毛の差しかなかったからです。
勝利数についてはレンドルの方が僅かに上です。というわけで、
レンドルこそが「キング・オブ・第1セットを失った後の勝率」であることは疑いもないでしょう。
レンドルは前記事のベーグルマッチに続いて2冠達成となりました。
もうレンドルという選手はベーグルは、多いわ、いざ第1セットを取っても逆転してくるわで
相手にとってはまったくとんでもない選手ということになります。
その上コーチになったらなったで、中程度の能力しかないような選手に
輝かしい戦績という名のスパイスで彩りを加えてしまうんですからね。
ブログタイトルに偽りなし。良くご理解いただけましたでしょうか。
では、順位をずらりと見ていきましょう。
(現役選手は2017年10月9日現在の数字。データはすべてオープン化後)
《順位 勝率(勝利-敗退) 名前》
01 43.59%(119-154) レンドル
02 43.56%(115-149) サンプラス
03 43.21%(070-092) ボルグ
04 42.86%(105-140) ナダル
05 42.49%(099-134) ジョコビッチ
06 41.13%(102-146) マレー
07 41.08%(099-142) ベッカー
08 40.57%(129-189) コナーズ
09 40.27%(120-178) フェデラー
10 39.35%(122-188) ヒューイット
もう、強い選手ばっかりですね。
正直ナダルが歴代1位だと思いましたが実際には4位でした。
ただナダルの場合はこれから上がってくる可能性もあります。
単純に4連勝すればレンドルを抜いて1位に躍り出る計算です。
もっとも、第1セットを取られて負けてしまえば当然数字は下がるわけですが。
サンプラスが強いのも想定できていましたが2位とは正直意外でした。
ボルグよりも上だったんですね。
もちろんこの辺は僅差で皆凄いということになるんですけど。
現在の4強がずらりと勢ぞろいしているのも壮観です。
9位のフェデラーまでが4割を超えている選手ということになります。
10位のヒューイットはレンドルと並んで最も5セットマッチ経験の多い選手です。
この2名が1位と10位に位置しているというのも実にいい感じです。
少し下の順位も見てみましょう。15位まで。
《順位 勝率(勝利-敗退) 名前》
11 37.56%(077-128) 錦織
12 37.30%(119-200) アガシ
13 37.20%(077-130) マッケンロー
14 36.56%(117-203) ナスターゼ
15 34.47%(081-154) ロディック
錦織選手。
他の全ての選手は歴代No.1です。その中に飛び込むこの存在感!
これはびっくりでした。
因みに16位以降はシュティッヒ、バブリンカ、クレルク、ゲルライティス、ツォンガと続き
さすがに錦織以外にもNo.1ではない選手も入ってくる状態です。
それにしても錦織は現役ではバブリンカよりも上なんですね。
アガシが12位です。これはもちろん全体で言えばさすがの高さなのですが、少し意外という気もしました。
ベッカーと順位が逆であっても違和感はなかったと感じます。
まあ改めて思い返してみればベッカーも5セットマッチ強かったですからね。
競り合いに強かったのはベッカーの方だったということだったのでしょう。
ベーグルマッチの方では好成績を収めていたのはアガシと、あと今回の表に出てきていないエドバーグですが
ここでは揃ってサンプラスとベッカーに後れを取る形になりました。この辺、特徴が出ていて面白いです。
参考までに、当サイトで言ういわゆる青色選手、オープン化前から活躍している選手のデータも上げてみます。
《暫定 勝率(勝利-敗退) 名前》
01 50.36%(070-069) ロッド・レーバー
11 38.21%(094-152) アーサー・アッシュ
11 38.18%(113-183) スタン・スミス
15 35.33%(053-097) ジョン・ニューカム
21 33.76%(053-104) ケン・ローズウォール
「暫定」の欄は、その選手が今の順位では何位に相当するかというのを表した数字です。
当然レジェンドですから皆ある程度凄いのはわかるのですが、レーバーの勝率はいったいどういうことでしょう。
50%オーバーとは!!
もちろんレーバー本人の全体の記録からすればほんの僅かの試合でしかないですし、
老境に至ったレーバーが、挽回する勝ち方を覚えたという可能性もなくはないのですが、
いやいや、残っている記録を見てみると、決勝で第1セットを失ってから優勝している数だけを見ても
もの凄くいっぱいありますからね、実はもの凄い数字を持っている可能性も大いにあります。
前記事のベーグルマッチにおけるローズウォールにも似た、実はもっと凄いんだろう候補の筆頭ともいうべき選手です。
続いて勝利数を見てみましょう。
《順位 勝利数 名前》
1 129 コナーズ
2 128 D・フェレール
3 122 ヒューイット
4 120 フェデラー
5 119 レンドル
5 119 アガシ
レジェンドがずらりと並んでいます。ヒューイットもこの分野では納得の大選手です。
そしてこの中に何の前触れもなく飛び込んできているのが、ダビド・フェレール!
これはびっくりです。しかもトップのコナーズにあと一つにまで迫っています。
これはもう間もなく記録更新があるかもしれません。前人未到の130勝を達成してくれるでしょうか。
試合数も見てみます。
《順位 試合数 名前》
1 433 サントーロ
2 419 F・ロペス
3 410 ロブレド
3 410 D・フェレール
5 404 ユーズニー
400を超えているのは歴代でこの5人のみです。
この数字は普通に第1セットを取られた回数ということになるので
純粋に試合数が多く、そしてあまり強すぎない選手が上位に来ることになります。
となればサントーロの1位というのは大いに納得です。
他にもこの表では、近年の選手が上位を占めているのがわかります。サントーロ以外全員現役です。
今年はトップ選手に怪我人が多く、選手の体力問題が取り沙汰されていますが
近年の選手たちのその長い選手生命というのも実はまた見逃すことができない事項なのです。
敗退数
《順位 敗退数 名前》
1 348 サントーロ
2 317 F・ロペス
3 309 ユーズニー
4 299 セッピ
5 297 ロブレド
こちらもほぼ同じような内容になります。
フェレールに代わってセッピが出てきています。
いかがでしたでしょうか、2回に渡る、レンドル讃美、じゃなくて、
過去のデータに基づく、改めてこの選手は強いんだよ、というデータを発掘する企画。
また思いついたらやってみたいと思います。
- 2017/10/10(火) 17:30:00|
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テニスでは「6-0」でセットを取ることをベーグルと言います。
そのまま試合を決めるには3セットマッチならばダブルベーグル「6-0 6-0」
5セットマッチならばトリプルベーグル「6-0 6-0 6-0」を達成させるわけです。
今回は、この1ゲームも与えずに「6-0」だけで試合に勝利した例をピックアップしてみます。
さて、では早速問題です。
今までで一番多く、このベーグルマッチを達成した選手は誰でしょう?
ヒント:2人います。
↓ 答えは下の方
正解は・・・
レンドルでした。
まあ大抵私がこういうクイズ出すときは、ほとんど答えがレンドルですから
そこから正解した人も多いんじゃないかと思います。
次点でビラスとなります。
この両者は共に6回達成しています。
同じ数なのに何故にビラスが次点かと言いますと、
ビラスの6回は全て3セットマッチですが、レンドルは5セットマッチでも1回達成しているからです。
レンドルこそが「キング・オブ・ベーグル」であることは疑いもないでしょう。
もちろんビラスも凄いわけですが、この両者が凄いのは回数だけではありません。
レンドルはコナーズから、ビラスはナスターゼからとそれぞれNo.1経験者からベーグルマッチを達成しているのです。
こんなことをしているのはこの両者だけです。これは全く素晴らしい。
やられてしまったコナーズとナスターゼの名誉のために付け加えておくと
両者はそれぞれ2回ずつベーグルマッチの達成もしています。
やられはしたが、やったことも倍あるというわけですね。
最初にレンドルとビラスを出してしまったので2回というのは少ないと思われそうですが
2回達成というのでも充分に凄い成績です。
以下、改めてベーグルマッチ達成回数の多い選手を上げましょう。(2017年10月現在の数字です)
6回 ビラス、レンドル
5回 なし
4回 アッシュ、マレー
3回 ローズウォール、ボルグ、エドバーグ、ムスター、アガシ
2回になると先述のコナーズ、ナスターゼ以外にチャンやフェデラー等10人前後が達成しています。
4回達成の2名ですが、ここの方がクイズとしては面白かったかもしれません。
アーサー・アッシュもそうですが現役のマレーの登場とは驚きです。
しかもマレーは5セットマッチでの達成が1回ありますから、むしろアッシュを抑えて歴代第3位につけていると言えるのです。
次に3回達成の選手ですが、ローズウォールはオープン化後の記録のみなので参考までに載せている状態にすぎません。
10代から活躍している選手の34歳以降の記録ですからね。その実際の数字はいかほどかとなるともう想像もできません。
6回を遥かに凌駕する数字を叩き出している可能性も大いにあります。
ローズウォールは除いて、その他の3回達成の選手の中で頭一つ抜け出ているのはエドバーグです。
エドバーグのみが5セットマッチでの達成が1回あります。
こうして名前を見てみると、レシーブ力のある選手というのが達成者の条件になりそうです。
アッシュとエドバーグはネットプレイヤーですが、同じタイプの選手の中にあって
そのレシーブ力が高評価であるのは間違いないところでしょう。
2回達成の選手は少し人数が多くなりますが、特に取り上げておきたいのはブルゲラです。
ブルゲラは2回のうち1回が5セットマッチでした。またコナーズやナスターゼと同じように
ベーグルマッチをやられたこともあります。
すなわち、3セットマッチ達成、5セットマッチ達成、やられ、と実に3種類の達成があるのです。
これはブルゲラだけの記録でした。
他の何人かの主要選手も見てみましょう。
マッケンローは1回のみです。
ライバルであるボルグとレンドルがそれぞれ3回と6回達成しているので随分と少ない印象です。
もっとも、1回でもやっているのは十分すごいと言えるのですが。
また、エドバーグとアガシが3回ずつなのは先述の通りなのですが
それぞれのライバルであるベッカーとサンプラスは0回でした。
この両者が一度も達成していないのは少々意外でした。
他の90年代のビッグサーバーもほとんど達成できていないです。
唯一、ルゼドゥスキーのみが達成しています。しかも2回。これはかなり例外的といえます。
やはり、アガシとムスターが3回、チャンとブルゲラが2回というように
サーバー優位の90年代であってもレシーブ力の強い方がベーグルマッチを達成しやすいということがわかります。
そしてこれら達成のほとんどがクレーコートであるというのも見逃せません。
但しチャンの2回のみはハードコートとインドアカーペットでした。これはまた凄いですね。
90年代以降のNo.1経験者では、これまで出てきたエドバーグ、ムスター、アガシ以外に
ヒューイットが1回達成していますが、その他は達成がありません。
クーリエ、ベッカー、サンプラス、リオス、モヤ、ラフター、カフェルニコフ、サフィン、クエルテン、フェレーロ、ロディック。
90年代以降のNo.1は数多くいますが、皆未達成です。
そしてようやくビッグ4の登場となります。
フェデラー 2回
ナダル 0回
ジョコビッチ 1回
マレー 4回(5セットマッチ1回含む)
これは意外。マレーが多いのもあれですが、ジョコビッチが1回、そしてナダルが0回とは。
これまでの傾向から、タイプ的にはナダルが一番多いようにも思えたのですが。
フェデラーの2回も少ない気がします。
近年はどの選手もパワーがありますから、1つくらいのゲーム取得ならば
どんなトップ選手を相手にしても可能ということなのかもしれません。
参考までに、ベーグルマッチの達成が0回のナダルですが、
1ゲームだけしか落とさないで試合に勝ったという例を見てみたところ実に12回もありました。
そのうち1回は5セットマッチです。
《1ゲームだけしか落とさないで勝った試合(「6-0 6-1」、「6-1 6-0」等)》
フェデラー 5回
ナダル 12回(5セットマッチ1回含む)
ジョコビッチ 11回
マレー 4回(5セットマッチ1回含む)
ナダルに続いてジョコビッチも11回達成しています。
一方で、マレーが4回、フェデラーが5回と、ベーグルマッチの多い方は逆に少なくなっています。
こうしてみると4強に関してはベーグルマッチと1ゲームだけ落とした試合とでバランスが取れていると言えそうです。
1ゲームだけしか落とさないで勝った試合のナダルの数字は凄いのですが、調べると上には上がいました。
ボルグ 18回!!(5セットマッチ3回含む)
レンドル 13回(5セットマッチ1回含む)
これにより、「キング・オブ・ベーグル」はレンドル
「キング・オブ・1ゲームだけしか落とさないで勝つ」はボルグ
となりましたことをここに報告いたします。
- 2017/10/05(木) 18:00:00|
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マレーとレンドルのコンビが猛威を振るいつつある今日この頃。
ということでレンドルコーチ就任期のマレーの成績を調べてみました。
レンドルコーチ時代は2012年1月から2014年のインディアンウェルズまでが第1期です。
そして今年のクイーンズからが第2期となります。合わせて2年強です。
マレーのキャリアは2005年に始まっていますから合計では11年に及びます。
すなわちレンドルなしの時代は約9年となります。
2年と9年で時間に開きはあるのですがデータ上どうなのか見てみましょう。
レンドルありとレンドルなしとで列挙します。
《生涯成績》
あり:131勝29敗(81.9%)
なし:467勝142敗(76.7%)
《タイトル数》
あり:10
なし:29
《グランドスラム獲得数》
あり:3
なし:0
《グランドスラム成績》
あり:50勝6敗(89.3%)
なし:122勝33敗(78.7%)
《オリンピック獲得数》
あり:2
なし:0
《オリンピック成績》
あり:12勝0敗(100%)
なし:0勝1敗(0%)
ん~、凄い。特にグランドスラム成績。
グランドスラムでは苦しんだレンドルですがマレーには多大なる実績を残させることに成功しています。
タイトル3はもちろん、勝率90%近くというのは見事です。
オリンピック戦績もまた壮絶なものがあります。
これはまあ半分ネタ的なデータではありますが、輝かしい実績であることに変わりありません。
それに比べると生涯成績は、もちろん差は出てますが、意外に接近している部分です。
レンドルはそもそもマレーがグランドスラムを取るために招いたコーチですので
このグランドスラム成績だけでも大成功を収めているといって差し支えないわけですが、
実は唯一結果を出せていない大会というのがありまして、それがマスターズ1000なんです。
マレーはこれまで12のマスターズタイトルを取っていますが、レンドル就任期には僅かの「1」でしかありません。
2008年から2011年まで4年連続で2タイトルずつ取っていたのですが
レンドル就任1年目の2012年には「0」、翌年には「1」だけでした。
グランドスラムに比べてこの数字は不思議に思います。
2015年にはまたマスターズ2つを獲得していますがこれはレンドルコーチ時代ではありませんし
今年2016年もローマで獲得していますが、これもレンドルまた就任前となります。
そこで、マレーのマスターズ成績も調べてみました。
《マスターズ》
あり:29勝14敗 67.4%
なし:197勝75敗 72.4%
驚きの低成績!!レンドル時代の方が生涯成績よりも低いとは!これはまさかの出来事です。
レンドルは現役時代、そのキャリアの割りにはグランドスラムで思うように勝てなかった選手です。
しかし、現在のマスターズに相当する大会にはめっぽう強く、
2013年にナダルに抜かれるまで四半世紀近くタイトル獲得数の記録保持者であり続けました。
現在はフェデラー、そしてジョコビッチもレンドルの記録を超えていますが、
当時は今のようなマスターズへの出場義務がありませんでしたので、
大会への出場が断片的であったにも関わらずのこの成績ですから改めてさすがと思わせるものがあります。
レンドルは自分が強かったマスターズではマレーを勝たせられておらず、
しかしグランドスラムのほうでは好成績を収めさせられているという点で
非常に面白く、そして興味深い師弟関係だといえます。
あとはNo.1。マレーをNo.1にできるかどうかですね。
今、ここ数大会のマレーは強いですが、まだまだジョコビッチとの差は隔絶の感があります。
自然と、グランドスラムはもちろんですがマスターズの勝利も必要になってくるということではありますまいか。
テーマ:テニス - ジャンル:スポーツ
- 2016/08/18(木) 18:24:56|
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長期ブランク遅れを取り戻さんと、連続での記事投稿となってます。
こういうのは行ける時にガンガン行かないと。
さて以前、あるネットの書き込みを見て、気になったことがありました。
「錦織は全米で準優勝だったが、もしも勝っていたらコーチのチャンとは同じレベルの選手」
ん~、さすがにこれはチャンを知らない人物の書き込みです。
もちろん錦織は既に一流の選手でそのキャリアもスター性も素晴らしいものがあることは認めますが
チャンのキャリアはもの凄いです。さすがに比べてしまうと足元にも及ばないでしょう。
これはグランドスラム優勝でのみテニスを語ってしまうという、古くからテニス界に巣食う安易な感覚の弊害といえます。
そこで今回はチャンと錦織を比較してみたいと思います。
まあチャンの圧勝であることは分かっているのですが
錦織にも今後更に発奮してほしいという気持ちも込めまして。
ただ、簡単な比較は少々難しいです。
生涯成績の比較でもいいですが、キャリア半ばの錦織とチャンとでは長さが違います。
また、デビューも違います。錦織は2007年、18歳の年にプロデビューしていますが、
チャンは早くも1988年、15歳の年にデビューしてました。
年齢で分けるという方法もあります。
錦織は今年27歳ですので、チャンが27歳の年、すなわち1999年までを対象とするという方法です。
あとは錦織は今年でデビュー10年目になりますので同じくチャンの10年目までを対象とする方法もあります。
ただ、デビューが早いというのは一つの特徴とも呼ぶべきものだと思いますし。
デビュー10年で分けてしまうとチャンは全盛期がっつりの時期になりますので
丁度良いところということで、年齢で行きましょう。
錦織の今とチャンの1999年終了時点の2つを比較をしてみることにします。
通算勝敗:
595勝239敗 チャン
266勝128敗 錦織
通算勝率:
.713 チャン
.675 錦織
GS勝敗:
112勝42敗 チャン
049勝25敗 錦織
GS勝率:
.727 チャン
.662 錦織
GS優勝:
1回 チャン
0回 錦織
GS準優勝:
3回 チャン
1回 錦織
GSベスト4:
4回 チャン
0回 錦織
総タイトル数:
33回 チャン
11回 錦織
マスターズ1000(旧マスターズシリーズ)タイトル:
7回 チャン
0回 錦織
総準優勝回数:
23回 チャン
07回 錦織
マスターズ1000(旧マスターズシリーズ)準優勝:
2回 チャン
2回 錦織
マスターズファイナル進出:
7回 チャン
2回 錦織
マスターズファイナル最高結果:
準優勝 チャン
ベスト4 錦織
最高ランク:
2位 チャン
4位 錦織
年末最高ランク:
2位 チャン
5位 錦織
年間最高成績:
65-19(77%) チャン 1995年、1996年
54-14(79%) 錦織 2014年
年間最多タイトル
6回 チャン
4回 錦織
いかがでしょう。
さすがに違います。全然違う。
錦織が勝っている部分が見当たりません。
辛うじて年間勝率で2%上回っていますが、勝利数はチャンの方が11も上です。
しかも、チャンは同じ成績を2年連続で続けている上に、
更にその前2年(1993年-1994年)は66-21(76%)というこれまたほぼ同等の成績を収めているのです。
むしろ勝利数でいえばこの前2年の方が上です。
時の王者との対戦も違います。
錦織にとってのビッグ4に相当するのは
チャンではサンプラス、アガシ、クーリエ、ムスターあたりになるでしょうか。
順に1999年までの勝敗は8-11、7-13、12-12、3-6となります。合計で30-43(41%)です。
錦織のビッグ成績は、2-4、1-9、2-7、1-6で、合計6-26(19%)です。
まあ現在はビッグ4の異様ぶりが歴史上稀有なものですからある程度はやむを得ないにしても
それでも差が歴然としているのは事実です。
一応チャンも例えばベッカーには1勝5敗、カフェルニコフには0勝4敗と苦手とした選手もいるんですが
一方でリオスには6勝1敗、ラフターには6勝4敗とNo.1相手には総じて互角に近い戦いをしていたといえます。
というよりチャン自身がNo.1を争っていた選手ですからね。
参考までに、同時代で2位にしかなれなかった選手同士の対戦成績を上げますと、同じく1999年までで
対イバニセビッチが5勝5敗、対シュティッヒが3勝3敗となります。2位対決もまた互角といえます。
イバニセビッチとはその後2001年に1回戦っていてチャンが勝っていますので
トータルではチャンの6勝5敗で一つ勝ち越しているということになりますが。
話が逸れますが、参考までにイバニセビッチとシュティッヒはシュティッヒの5勝2敗です。
2連敗のあと5連勝という形でした。
さて、この2位にしかなれかった選手たち、そうちょうどマレーがそうなんですよね。
つまり、実際にはチャンやイバニセビッチは錦織ではなく
マレーが対比されるべき選手だといえるのです。
あれ、ひょっとしてこっちの方が楽しそう?
チャン vs イバニセビッチ vs シュティッヒ vs マレー
まあマレーは史上最強の2位なので頭一つ抜き出ていると思います。
いっそビラスを加えてもいいかもしれませんね。
てゆーか以前にもこの企画、アイデアとして上がってましたね。
やらないといけませんね。
他に最高位No.2といえばコルダ、コレチャ、ノーマン、ハースがいます。
古くはオランテスやアーサー・アッシュ、ローズウォールもいますが
オランテスはともかく後2者はちょっとこの範囲に入れにくいところです。
因みに最高位3位選手というのもあるんですよ。
スタン・スミス
トム・オッカー
ロッド・レーバー
ゴッドフリード
ゲルライティス
ノア
ブルゲラ
コリア
ナルバンディアン
リュビチッチ
ダビデンコ
フェレール
バブリンカ
最初の3人はさすがに除外されるべきでしょうが、それ以下の選手の比較もなかなか面白そうじゃないですか。
錦織は最高位をあと一つ上げてここにメンバー入りできるといいですね。
探したてみたらウィキペディアに最高位4位の選手と5位の選手も載ってました。
https://en.wikipedia.org/wiki/ATP_Rankings3位の一覧は昔私が自力で調べたのです。
結構苦労して頑張ったのですが、
今はこんな簡単にデータが手に入るんですね。ヨヨヨ。
テーマ:テニス - ジャンル:スポーツ
- 2016/04/26(火) 18:32:46|
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