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 レンドル最強説&フェデラー最強説blog

【レンドル最強説】の雑記部分をブログ化しました。右のリンクから本体へも是非どうぞ。

頂いたご質問への回答

前記事のコメント欄でネットプレーヤー応援隊長様よりご質問いただきました。

はじめまして。 いつもデータ検証サイトを拝見させて頂いております。
グラスシーズン開幕とのことですが、検証サイトの方で「テニスはコートによって選手の勝率が変動する」とあり
大変興味深く感じました。
ところで、検証サイトを見ていて一つ疑問に思ったことがあります。
「ストローカーはクレーコートに強く、ネットプレーヤーはグラスコートに強い」とありますが、
ストローカーのアンディ・マレー選手はなぜグラスコートの勝率が一番高いのでしょうか?
守備力の高さが最も生きやすいクレーコートの勝率は、逆に三種類の中で最も低くなっています。

ありがとうございます。

コメント欄で返信しようと思ったのですが、私の悪い癖で
案の定、長文回答になってしまったので改めて記事を起こさせていただきました。
長い回答で恐縮ですがご確認いただけると幸いです。

※回答内容についてはあくまでも私見である点はご了承ください。

回答内容としてはまず
「ストローカーはクレーコートに強く、ネットプレーヤーはグラスコートに強い」の部分
そして
「アンディ・マレー選手はなぜグラスコートの勝率が一番高いのでしょうか?」の部分となります。

まず前者です。
「ストローカーはクレーコートに強く、ネットプレーヤーはグラスコートに強い」

当サイトではテニスの歴史を俯瞰していますので、その広い時代範囲の判断としてはこれは事実です。
ネットプレーヤーがテニス史に明確に登場したのは1930年代で、
その後1990年代に至るまで約70年に渡りテニス界を支配してきました。
特にグラスコートでは無類の強さを発揮してきたと言えます。

但し2000年代に入ってネットプレイヤーは少なくなり、現在ではほとんどいなくなってしまいました。
つまり、ここ20年でいえば「ネットプレーヤーはグラスコートに強い」は正しくなく
もっと正確にいえば、ネットプレーヤーはトッププレイヤーから姿を消している、ということになります。

理由は、コートの変化、ラケットの変化、ボールの変化、そしてプレイヤーの変化
など様々に言われますが、その全てが該当します。

90年代の男子プロテニス界はビッグサーブのみで試合が決まってしまうことが多く、
試合がつまらなくなったと言われました。
そこで、テニス界が改革したのがまずはコートの変化とボールの変化でした。
特にそのつまらないという傾向が顕著であったグラスコートではボールが良く跳ねるようにしました。
それによって、グラスコートでもストロークの効果が高まり、選手はそのスタイルでも戦うようになります。
そうなると、次はそれに合わせたラケットも開発されるようになります。
選手達は最終的に、現在のグラスコートではストロークで戦う方が効果的であるという結論を出したことになります。

順序としてはラケットの改革の方が先だという説もあるのですが、
私は個人的にはボールとコートの方が先と見たほうが自然じゃないかと思っています。

当サイトでも、正確には
「(2000年に入るまでは)ストローカーはクレーコートに強く、ネットプレーヤーはグラスコートに強かった」
と書き改めなくてはいけませんね。ここは修正機会があったら対応したいと思います。

そういうわけで、今ではほぼ全ての選手がストロークスタイルでグラスコートでも戦ってます。
コート差は以前ほどは大きくなくなっていると言えるわけです。
80年代には、ノア(クレー:75% グラス:45%)や、キャッシュ(クレー:40% グラス:73%)のように
トップ10選手であっても極端にコート別の勝率が違う選手がいましたが
さすがに今はそこまで違うことはありません。

それでも、クレーとグラスとでは戦い方が違うので
同じストロークスタイルでもやはり得手不得手は生じてきます。

そこで後者の回答の
「アンディ・マレー選手はなぜグラスコートの勝率が一番高いのでしょうか?」になります。

まずクレーはバウンドがゆっくりであり、しかも高く跳ねるので、ラリーが長く続きます。
体力があってミスせずに打ち続けられる選手が強い傾向にあります。

テニスは生きた球を打ち返しますので、来た球のペースを利用して合わせえるように返球する方法がありますが
クレーではそれはあまり有効ではありません。自分からしっかり打っていける選手が強いのです。
その意味で、マレーはこの合わせるショットが得意の選手です。
フットワークもあって自分から打っていくショットも強いのである程度はクレーでも戦えますが
やはり一番の持ち味であるカウンターを活かしたショットというのがクレーでは活きにくいというのがあります。

一方でグラスコートではボールは低くはずみますので、
クレーのように自分から強打していくスタイルが通じにくいです。
足元に来た球を巧く合わせるように打つスタイルの方が効果的です。
ロブやドロップショット、スライスショットなどの小技も重要になってきます。
マレーは正にこれらが得意ですからグラスで特に効果的に戦えているのだと思います。
もちろん、サーブやボレーの総合力も高いというのも要因として上げられるでしょう。
特にサーブの効果はグラスの方がクレーよりも高くなります。

もう一つ、フットワークも上げられます。
クレーは全速力で走ることができるコートですが
グラスでは小刻みなフットワークが必要となります。
以前のサーブ&ボレーが主流の時はさほど重要ではなかった要件ですが
グラスでストロークスタイルで戦うようになった今ではグラスコートのフットワークというのは重要です。
マレーは一見どたどた走っているようにも見えますが、グラスコートに適した足の動きを見せています。
グラスコートでの効果的なパフォーマンスの一因だと言えます。

すいません、サイト内で触れていることや他のコメントを返信してくれた方と同じ内容のものもありますが
一応、私の方からのいただいたご質問への回答となります。
他に不明点や疑問点等ございましたら遠慮なくご連絡ください。
長文失礼しました。


※実はコメント欄ではATPウォッチャー様とふぁぶ様が
このご質問にいち早く回答して下さっており、内容も概ね同じでして、
むしろそちらのコンパクトな回答をみていただくのでよかったんじゃなどと思えたりもしています。



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  1. 2023/06/23(金) 19:44:24|
  2. 雑記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<頂いたご質問への回答その2 | ホーム | 2023、グラスシーズン開幕>>

コメント

ご回答ありがとうございます

管理人様、およびコメント欄で回答してくださった皆様、丁寧なご回答ありがとうございます。
なるほど、「ここ20年でネットプレーヤーがトップレベルから消えた」ことによって
「ストローカーVSネットプレーヤー」という構図から
「クレーが得意なストローカーVSグラスが得意なストローカー」に変わった。
そして、マレーは後者のタイプである、と。
これはテニス観戦素人の自分からは出てこない発想でした。

ところで、回答文の中でひとつ気になった箇所があります。
それは、「(トップレベルからネットプレーヤーが消えた)理由は、コートの変化、ラケットの変化、ボールの変化、そしてプレイヤーの変化など様々に言われますが、‥‥」の部分です。

以前、どこかで見た事があるのですが、「ラケットの進歩によって、昔は相手コートに返すのがやっとだったのでボレーで簡単に処理されていたリターンもそこそこ強い打球が打てるようになり、サーバー側の有利が減少した。」と書いてあって、「これっておかしくない?」と思いました。
確かにラケットが進歩すれば良いリターンが打ちやすくなるでしょうが、相手も同じ様なラケットを使っているのだから、当然相手も良いサーブを打ってくるわけですよね。
ましてや、ラケットに当てることすらできない高速サーブを打たれたら、こちらはラケットの進歩の恩恵すら受けられないことになり、むしろ「ラケットの進歩はサーバー側に有利に働いているのではないか」と思いました。

「ラケットの変化はサーバー側に有利だけど、ボール、コート、主流のプレースタイルの変化はリターナー側に有利だから、これらの変化は総合的にはリターナー側に有利」と言うならまだ分かりますが、「ラケットの変化それ自体がリターナー側に有利」と言われてもどうも納得できません。これは一体どういう理屈なんでしょうか?

追加の質問になってしまいますが、以前から疑問に思っていたので質問させて頂きました。
  1. URL |
  2. 2023/06/25(日) 19:48:37 |
  3. ネットプレーヤー応援隊長 #-
  4. [ 編集]

>ネットプレーヤー応援隊長様

追加のご質問いただきありがとうございます。
今回も、コメント欄で回答しようと思ったのですがやはり私の悪い癖で長文になってしまいましたので改めて記事を起こさせていただきました。そちらご参照いただけますと幸いです。

  1. URL |
  2. 2023/06/28(水) 12:10:07 |
  3. Au-Saga #3/VKSDZ2
  4. [ 編集]

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